【回想】「オリジナル10」5チームのJ2降格の瞬間――週刊SDの記事で振り返る

カテゴリ:Jリーグ

サッカーダイジェスト編集部

2015年10月16日

2005年・東京ヴェルディ――大敗、そして落日

Jリーグ初代王者の東京V(当時はヴェルディ川崎)だったが、徐々に弱体化していき、ついに力尽きた。07年にJ1復帰を果たすも、1年で再び降格、以降はJ2暮らしが続いている。 (C) SOCCER DIGEST

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■Case.3 東京ヴェルディ
 
2005年11月26日・日立柏
第33節
5-東京V
 
 J1残留を懸けた、直接対決のサバイバルマッチ。最終節に望みを繋ぐためには、東京Vにとって勝利は絶対条件だった。
 
 序盤は司令塔・大野敏隆を中心に徹底したサイド攻撃を繰り返す柏に対し、東京Vは後手にまわった。
 
「レイソルは良い形でプレーして、初めのほうはマークを掴み切れなかった」とバドン監督は言い、たまらず東京Vはボランチの山田卓也をCBに下げ、両サイドを相馬崇人と柳沢将之にして3-4-12-1とスタイルを変えることで、“サイド封じ”に成功した。
 
 徐々にボールを回す時間を増やし、27分に左CKから小林慶行のボレーシュートで同点に追いつくなど、前半の東京Vは素早い対応力で、五分五分の勝負を見せていた。
 
 しかしそれでも彼らに、勝負の女神は微笑まなかった。ターニングポイントは、後半開始直後の矢野貴章のミドルシュートだろう。
 
 ペナルティエリア手前に落ちたルーズボールに対して、東京VのDF陣は立ち往生。その瞬間、矢野の右足によって放たれたシュートは、ドライブしながらバーを直撃し、そのままゴールインとなった。
 
 この1点で東京Vのバランスは崩れた。1点のビハインドを跳ね返すべく、彼らがその攻撃意識を高めるたび、柏のカウンターをもろに浴びた。気づけば、セットプレーからの失点を含め、まさかの5失点である。予想外の結末となったこの大敗は、失点を重ねた今季を象徴するスコアとなった。
 
 ワシントンの不調も、彼らにとって誤算だった。リーグ通算21得点を叩き出した最強FWのパフォーマンスは、チームのバロメーターになっていた。
 
 ワシントンがノーゴールだったここ6試合で、チームは1分け5敗という成績。この日もチーム最多の5本のシュートを放ちながら、いずれもゴールネットを揺さぶれなかった。終了間際のPKも相手GKにセーブされるなど、最後までチームに勢いをづけられないまま、東京Vの初のJ2降格が決まった。
 
 主将の山田は「申し訳ないのひと言。能力のある選手は揃っているが、チームとしてかみ合わなかった」と唇を噛んだ。ワシントンは「降格は、この日の結果で決まったのではない。シーズンを通した戦いの結果。僕たちは良いシーズンにできなかった」とうなだれた。
 
 J2降格という結果は、チームの実力として受け入れざるを得ない。輝かしい歴史を築いた伝統クラブのひとつの時代が終わった。
 
(週刊サッカーダイジェスト2005年12月13日号)
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