本気で言い続けてきた「なんでも自分に言ってくださいね」
吉田は合宿運営のサポートを通して、子どもたちを伸ばしてやりたいという指導者たちの純粋な思いをひしひしと感じてきた。その熱意に応えられる滞在環境を整えれば、交通の便が悪くても、実際にリピートしてくれる。宿泊客が増えれば、旅館や民宿の人たちも喜んでくれる。みんなの笑顔が吉田の大きな活力となる。
「チームの強化にも、子どもたちの経験にも、地域の経済効果にもつながっているはずなので」
吉田自身はサッカーグラウンドに自分も立ち、子どもたちの元気な姿を見守っているだけで、報われた気持ちになると言う。
「遠くから和倉まで来てくれて、一生懸命サッカーしているのを見るだけで、十分やり甲斐につながります。幸せやなって感じます」
吉田が子どもたちの姿に重ね合わせているのは、少年時代の彼自身なのかもしれない。小学生の頃は試合のたびに、家族や親戚が応援に駆け付けてくれていた。
「自分の子どもがサッカーに打ち込んでいるというだけで、親の人生が大きく変わったりもするじゃないですか」
ゴールを決めても外しても、勝利を収めても敗れても、泣いたり笑ったり感動したり、そこはいろんな感情の起伏をみんなで共有できる空間だった。
「チームの強化にも、子どもたちの経験にも、地域の経済効果にもつながっているはずなので」
吉田自身はサッカーグラウンドに自分も立ち、子どもたちの元気な姿を見守っているだけで、報われた気持ちになると言う。
「遠くから和倉まで来てくれて、一生懸命サッカーしているのを見るだけで、十分やり甲斐につながります。幸せやなって感じます」
吉田が子どもたちの姿に重ね合わせているのは、少年時代の彼自身なのかもしれない。小学生の頃は試合のたびに、家族や親戚が応援に駆け付けてくれていた。
「自分の子どもがサッカーに打ち込んでいるというだけで、親の人生が大きく変わったりもするじゃないですか」
ゴールを決めても外しても、勝利を収めても敗れても、泣いたり笑ったり感動したり、そこはいろんな感情の起伏をみんなで共有できる空間だった。
きっと吉田は、スポーツならではの感情の共有を含めた掛け替えのない空間をつくりたくて、本気でこう繰り返してきたのだろう。
「なんでも自分に言ってくださいね」
◇ ◇ ◇
吉田が手掛ける空間づくりのひとつに、フットサルコートの運営がある。ひとりから参加できる「個サル」のプログラムには、未経験者用から上級者用まで5つのレベルを用意している。誰でも参加しやすい設定にしている原点は、吉田が高校1年生の夏休みにサッカー留学したブラジルにあると言う。
吉田を含めた日本の高校生たちは、サンパウロを本拠地とする名門パルメイラスの練習生として迎えられた。初日から吉田が圧倒されたのは、サッカーに取り組む姿勢がまるで違っていたからだ。ブラジルの同年代の若者たちは、文字通り貪欲に上を目指していた。
トレーニングマッチではCFの吉田にぜんぜんパスが回ってこない。強引に横取りすると、自分へのパスを奪われた味方のブラジル人から怒鳴られる。歴然としたキックミスのクロスを入れてきても、自分の非は絶対に認めない。むしろ、お前のポジショニングが悪いからだと吉田がなじられる。言葉は分からなくても、必死なのはよく分かる。プロになるための狭き門をくぐり抜けるために、なりふり構わず結果を残そうとしているのが全身から伝わってくる。
「コイツすげえなと思っていたヤツが、気付けばいなくなったりしてました。たぶん上のカテゴリーに上がったり、下がったりしてたんじゃないですか」
徐々に勝手が分かってくると、吉田の闘争心にも火がついた。クロスに点で合わせて得点するパターンに自信を持っていたので、途中からはその形に持ち込もうと周りに強く要求もした。1か月の留学期間が終わりに近づく頃には、日本に帰りたくない気持ちが膨らんでいた。
「なんでも自分に言ってくださいね」
◇ ◇ ◇
吉田が手掛ける空間づくりのひとつに、フットサルコートの運営がある。ひとりから参加できる「個サル」のプログラムには、未経験者用から上級者用まで5つのレベルを用意している。誰でも参加しやすい設定にしている原点は、吉田が高校1年生の夏休みにサッカー留学したブラジルにあると言う。
吉田を含めた日本の高校生たちは、サンパウロを本拠地とする名門パルメイラスの練習生として迎えられた。初日から吉田が圧倒されたのは、サッカーに取り組む姿勢がまるで違っていたからだ。ブラジルの同年代の若者たちは、文字通り貪欲に上を目指していた。
トレーニングマッチではCFの吉田にぜんぜんパスが回ってこない。強引に横取りすると、自分へのパスを奪われた味方のブラジル人から怒鳴られる。歴然としたキックミスのクロスを入れてきても、自分の非は絶対に認めない。むしろ、お前のポジショニングが悪いからだと吉田がなじられる。言葉は分からなくても、必死なのはよく分かる。プロになるための狭き門をくぐり抜けるために、なりふり構わず結果を残そうとしているのが全身から伝わってくる。
「コイツすげえなと思っていたヤツが、気付けばいなくなったりしてました。たぶん上のカテゴリーに上がったり、下がったりしてたんじゃないですか」
徐々に勝手が分かってくると、吉田の闘争心にも火がついた。クロスに点で合わせて得点するパターンに自信を持っていたので、途中からはその形に持ち込もうと周りに強く要求もした。1か月の留学期間が終わりに近づく頃には、日本に帰りたくない気持ちが膨らんでいた。