【岩本輝雄の目】浦和×広島の「戦術解析」&「キーマン診断」

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2015年07月21日

急成長中の浅野。課題は、引いた相手の崩し方。

浅野の最大の魅力はスピード。相手の最終ラインの裏を突く動き出しだけでなく、快足を活かした精力的なハイプレスでもチームを助ける。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 そして、浦和戦勝利のキーマンであり、同点弾など大きな働きを見せた浅野も外せない。僕も高校時代から見ている選手のひとりで、あのスピードは最大の魅力だ。
 
 持ち味であるスピードは攻撃面で評価されることが多いけど、快足を活かした前線からのハイプレスにも注目すべき。その精力的なプレッシャーの前に、浦和も途中からバタついていた。
 
 ただ、現状に満足しないでほしいとも思う。急成長を遂げている選手とはいえ、課題がないわけではない。決定力をさらに上げていくのはもちろん、スピードを活かせるスペースがある時に怖さはあっても、相手がラインを引いてきた時の崩し方には、まだまだ工夫が必要だ。
 
 スペースがない時、それこそ元浦和のエメルソンのように、スッと降りてきてボールを受けて、その動きで生まれたスペースに、ドリブルだけでなくワンツーも組み込みながら、グッと入っていけるか。
 
 前でただ待っているだけではダメ。自分の武器が活きるような“空間”を自分で作れるようになれれば、もうひとつ上のレベルに行けると思う。
 
 浅野と同世代の野津田にも期待したい。彼のプレーにはまだまだ粗さが目立つし、すぐにシュートを打つプレー選択にも疑問が残る。ゴールへの高い意識は悪くないけど、あれだけ正直に振りかぶればGKも容易に準備ができるし、足もとに収めて即シュートとなれば、周りの味方も「あ、シュートね」と、パスを受けようとする動き出しを止めてしまう危険性もある。
 
 自らのプレーでチームの攻撃の幅を狭めないように引き出しを増やしつつ、判断と精度を磨いていければ、野津田も相手にとってさらに脅威を与えられる選手になるはずだ。
 
取材・構成:広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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