【岩本輝雄の目】宇佐美貴史「ハットトリック解析」――スペックが高すぎる点取り屋

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2015年06月30日

「ゴールって簡単に決まるんだ」と思わせてくれる選手。

1点目は左足、2点目は右足から正確なシュートでネットを揺らした宇佐美は、62分にはGK山岸が弾いたボールを押し込んで3点目。自身にとってJ1では初となるハットトリックを達成した。(C)J.LEAGUE PHOTOS

画像を見る

 どこでマイボールにすれば自分の特長を活かせるかを分かっている。相手のボランチが遠藤保仁をケアしに行くことで空いたスペースを見つける嗅覚も鋭い。その点でも宇佐美のクレバーさが見て取れたけど、彼の最大のストロングポイントは、冒頭で話した寿人に通じるシュートの上手さだと思う。
 
 サッカーは、そう簡単にゴールが生まれるスポーツではない。相手も必死に守ってくるから、取れない時は本当に取れない。でも、宇佐美のプレーを見ていると、「こんなにDFがいるのに、ゴールって簡単に決まるんだ」と思わせてくれる。それほど宇佐美のゴールシーンは鮮やかだし、非凡な技術が伴ったものだと改めて気付かされた。
 
 まずは50分、倉田秋のアシストから左足で先制点をゲット。特筆すべきは、そのファーストタッチだ。DFの足が届かず、なおかつスムーズに足を振れる絶妙なポイントにボールを置く。シュートを打つ選手からすれば、当然だけど、エリア付近ではそれほど時間を与えてもらえない。だからファーストタッチでボールの置きどころを間違えれば、シュートは打てない。
 
 左足の正確なシュートはもちろん、その前段階の準備も含めて、ストライカーに必要な要素を宇佐美は完備していると言える。
 
 59分の2点目も、ファーストタッチの妙技が光る。パトリックの軸足の裏を通す巧みなパスに反応すると、ボールの勢いを殺さないように右足でチョンと押し出し、対応してきたDFの股を通して抜き去る。
 
 これでGKと1対1の状況を作り出すと、前に出てきた山岸範宏の位置を確認し、正確なシュートでネットを揺らす。今度は右足だったけど、左右両足で精度の高いシュートを打てるから、相手としても予測し難く、守りづらいはずだ。
 
 62分の3点目はこぼれ球を押し込んだものだったけど、中盤からドリブルでボールを持ち運び、右サイドに展開してチャンスを作り出したのは、他ならぬ宇佐美自身だった。
【関連記事】
【J1採点&寸評】山形×G大阪|宇佐美が13分間で自身初のJ1初ハットトリック! 山形を粉砕し、得点ランキング単独トップに
【G大阪≪宇佐美の全ゴールリスト付≫】“不敗神話”は継続中。宇佐美ゴール時の勝率は「77%」
【日本代表<推定市場価格ランク付き>】市場価格「3億4000万円」の宇佐美。シンガポール戦で価値を高められず
【日本代表】初スタメンで1アシスト――攻撃に迫力を生んだ宇佐美貴史の躍動感
【J1】第1ステージ「スタジアム収容率ランキング」を発表! 浦和の「埼スタ」は10位。実質1位は甲信越が誇る「熱狂の地」
【元ガンバ主将の挑戦】木場昌雄|東南アジアと日本の架け橋になるために――。

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 完全保存版!
    5月25日発売
    祝! 浦和3度目V!
    日本クラブの
    ACL挑戦記
    アジアでの現在地を探る
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト いよいよ市場オープンへ!
    6月1日発売
    2023 SUMMER TRANSFER
    夏の移籍
    「完全ガイド」
    決戦目前! CL決勝展望も
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVol.38
    1月13日発売
    岡山学芸館が初優勝!
    第101回高校選手権
    決戦速報号
    全47試合を完全詳報
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ