“リアル”南葛SCの女子&Jr.ユースチームが体現するクラブのフィロソフィーとは?

カテゴリ:Jリーグ

伊藤 亮

2021年09月30日

自身とチームに求める「変化していくことへの挑戦」

WINGSの指揮官として3年目を迎える。チームにもそして自身にも「変化していくこと」を求めながら戦っている。写真:田中研治

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 目指すべきサッカーは2014年の立ち上げ時からチームを率いていた横山恵介監督と変わらない“ボールを大事にするサッカー”。自分自身も同様のサッカーを志向していた。そこに、「自分の経験と学びを総合的にミックスする」ことを続けてきて3年目のシーズンになる。

「トップチームでも“ボールを大事につなぐサッカー”を重視していますが、特に共有しているわけではありません。ただ、練習場がいっしょなので、トップチームの練習を見ることもあれば、試合も観ていますから。選手も見ている人もワクワクするようなサッカーが継続されていることで、僕自身楽しみですし、たくさん学ばせてもらっています」

 自身が大切にしていることは「選手に輝いてもらうこと」。選手の個性がまずあり、その個性を輝かせる戦術を当てはめていくという方法論だ。

「目標の前にまず目的を持つことで土台ができます。自分が指導者をする上での一番の目的は選手に輝いてもらうこと。そこはブラさず、ここ2年現場に立ってます。やり方は変えても土台を絶対にブラさなければ、適切な選択、決断ができますから」

 もっとも、ここまで言い切れるようになるには悩みの期間があったという。トップチームでコーチをしていたが、全ての責任を背負う監督を経験したいと思った。そして実際女子チーム監督の立場になって待っていたのは「変化していくことへの挑戦」だった。

「指導する立場の人間としてどうあるべきか。日々自問自答するようになって苦しい時もありました。選手時代の経験はプラスになっているとはいえ、指導者になって価値観は全く変わりました。その自分の中の変化を受け入れることって怖いんです。でも自分の中で新しいものを取り入れてチームに発信していかない限り何も変わらない。アクションを起こさない限り選手に気付きを促すきっかけも与えられないですから」

 人知れず悩み、自分と向き合ってきた結果「肚が座った」。結果が出なければ辞任する覚悟を持って、たとえばメンタルトレーニングなど、新しい試みをチームに持ち込んでいる。そして変化ヘの挑戦をチームにも求めている。

「サッカーは勝敗という形で結果が必ず出ます。その勝った、負けたでどうしても一喜一憂してしまう。でもそうではなく、自分たちで成功の基準を設けて成功したらまた基準を上げていく。そしてこれまで課題でなかった部分を課題にしていく。自分たちで基準を設けつつ自ら変化していくことに選手たちも立ち向かってくれていると思います」

 ちなみに、今シーズンもコロナ禍の影響などで悩み多きシーズンだという。

「1年目はうまくいっていると感じていて結果が出なかった。そう感じている時はなかなか自ら反省するということをしない。逆に悩みが尽きない2年目のシーズンの方が結果はよかった。感謝しながら日々悩み抜きたいと思います。現状悩んでいるということは、今シーズンもいい結果が出るんじゃないですかね」

 自虐的なようでいて、何かを掴みかけている感触を得ていそうな笑顔が見られた。
 
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