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浦和レッズでプロになった“早熟の天才”。28歳で現役を引退してからクラブ代表として辣腕を振るうまで

カテゴリ:Jリーグ

河野 正

2021年09月23日

鈴木啓太のように努力していたら、一流選手になれたのではないか

浦和では同期の誰よりも早くプロデビューを飾った。だがその後は苦難の日々が続き……。(C)SOCCER DIGEST

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 00年にユースから6人目となるトップチーム入り。中学2年でU-16日本代表候補に飛び級で入るなど、6人の中では最も実績があり、次代のエースとして注目された。1月30日の新加入会見では「チーム内で激しく競い合い、プロとしてどん欲にやっていきたい」と抱負を述べていたのだが……。

 浦和が初めてJ2に陥落した00年の新人は千島、鈴木、早川知伸の3人だけで、公式戦デビューは千島が一番早く、4月12日の川崎フロンターレとのナビスコ杯1回戦第1戦に後半10分から出場。天皇杯も1回戦の後半開始からピッチに立ち、この時点では鈴木をリードしていた。

 ところがJ1に復帰した2年目になると立場は逆転。千島が公式戦で1度もベンチ入りできなかったのに対し、鈴木は第2ステージ第2節でリーグ戦に初先発すると、ここから一気に主力へと躍り出たのだ。

 千島のJリーグデビューは、3年目の第2ステージ第3節のジュビロ磐田戦。後半27分に登場し、41分には鈴木のパスから強烈な惜しいシュートを放った。4年目の03年はリーグ戦最多の8試合に出場。FC東京とのナビスコ杯準々決勝第1戦では、敗色濃厚だった後半44分に同点ヘッドを決めた。ユース出身者の初ゴールであり、浦和のナビスコ杯通算100点目でもあった。

 02、03年はハンス・オフト監督の寄せる期待も大きかったが、選手層が厚くなって浦和に黄金期が到来し始めた04年以降は故障もあり、なかなか試合に絡めなくなった。
 
 鈴木のように努力していたら、一流選手になれたのではないか──と後年は後悔ばかりしたそうだ。

「啓太は自分に足りないものをトレーナーと相談し、そのメニューを居残りで懸命にこなしていました。自分にはそんな努力と工夫が圧倒的に足りなかった。ここが僕と啓太の決定的な違いで、プロ意識が欠如していたということです」

 06年6月にJ2愛媛に完全移籍。小学校からの友人でもある関根永悟が在籍していたほか、活発で明るいチームとあってすぐに溶け込み、純粋にサッカーを楽しめた。

 加入から1か月半後の8月6日、東京・国立競技場での東京ヴェルディ戦だった。千島の赤いユニホームを着た大勢の浦和サポーターが、応援に駆け付けてくれた。スタンドで赤と愛媛のオレンジが重なり合う光景を見て鳥肌が立った。「自分の宝、財産です」と喜び、「卒業文集の夢は福田さんと同じピッチに立つことしか実現できなかったけど、最後のシーズンと決めていた09年は、初めて強いプロ意識を持てた。9年間は後悔ばかりでしたが、あの年だけは全てやり切れました」と10年間の現役生活をしみじみ思い返した。

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