前半４分の先制ゴールは、バルサがユーベに対する戦術的優位を効果的に活かした、狙い通りの形から生まれた。
 
　バルサの４-３-３は、攻撃の局面においてピッチをワイドに使えることを強みとしている。一方ユーベの４-３-１-２は、中央の密度を高める分、サイドではある程度のスペースを与えるリスクを受け入れるシステム。
 
　外にボールが出た時にはインサイドハーフが開いてケアするメカニズムになっているため、対応のタイミングがワンテンポ遅れがちになるし、それに合わせて中盤全体がボールサイドに絞るため、逆サイドにはスペースを与えることになる。
 
　先制ゴールは、そこをメッシが速く正確なサイドチェンジで突いたところから生まれた。
 
　逆サイドを駆け上がったジョルディがこれを受けて、ネイマールがそこに絡んだところまでは想定内。ユーベの最終ラインは素早く距離を詰めてシュートの可能性を消した。
 
　問題は、そこからイニエスタ、ラキティッチという２人のMFをフリーでエリア内に入り込ませてしまったこと。とりわけイニエスタの走り込みにビダルの対応が遅れたのが致命傷になった。
 
　トップ下のビダルは、守備の局面では中盤の低い位置まで下がって中央のゾーンでピルロとチャレンジ＆カバーの関係を作るのが基本。しかしこの試合、とりわけ立ち上がりの時間帯はうまくポジションが見出せず、対応が後手に回る場面が目立った（最初の10分で拙いファウルを３度犯して11分にイエローカードを受けることになる）。
 
　この場面でも、ひとつ前のプレーで不用意に前に出たためにイニエスタにスペースを与え、しかもその後も縦の走り込みを捕まえそこねてフリーにしてしまった。
 
　ファーサイドから入ってきたラキティッチに対しても、ピルロが後方でフリーになったメッシをカバーするために前に出て、わざわざスペースを空けるというミスを犯している。
 
　ここでは、ピルロの動きを見たポグバがラキティッチを捕まえに行くべきだったが、一瞬の躊躇で足が止まってしまった。こうなるともはや手遅れである。