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「ずば抜けて上手い」究極のユーティリティ。中学時代の中山雄太はトップ下やGKも務めていた【東京五輪代表のルーツ探訪】

カテゴリ:日本代表

鈴木潤

2021年08月01日

柏U-15との練習試合でキャリアを大きく変える

中学時代のワンショット。右から2番目に位置する中山雄太は、中学2年生時には茨城県トレセンに選出された。写真提供●根本清史

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 練習試合では、すでに上級生の中に入って起用されていた中山は、1年生ながら茨城県大会で中学の公式戦デビューを飾る。中学1年生が上級生の試合に出れば、物怖じしてプレーが萎縮してもおかしくない。ところが、中山はそんな感情とは無縁。むしろ「自分が上級生の試合に出て通用するか試してみたい」と出場に意欲的で、ピッチに立てば上級生顔負けのプレーを見せた。

「入部当初から雄太は学年を気にするよりも、自分がどれだけできるか試したい、もしくは試合の状況を見て『俺だったらやれるのに』と思う子でした。でも普段は謙虚で礼儀正しく、誰にでも優しい。ミニゲームをやっている時に、ゴールを外した先輩に対しても『先輩、そこ決めていこう!』というポジティブな声かけができるから、ミスをした選手も次への意欲が湧くし、チームのムードが悪くなりません。そういう子でしたから、学校生活で彼のことを悪く言う人はいなかったです」

 サッカー部で突出した存在だった中山は、中学2年生の時に茨城県トレセンに選出され、柏U-15との練習試合でキャリアを大きく変えるターニングポイントを迎える。対戦相手のCB、上島拓巳(現・柏)が当時の記憶を呼び起こす。
 
「茨城県トレセンと対戦して、試合は僕たちが勝ちました。でも相手の中にひとりだけずば抜けて上手い選手がいて、そいつにミドルシュートを決められました」

 その“ずば抜けて上手い選手”こそ中山である。出色の活躍で柏のアカデミースタッフの目を引きつけ、「彼は誰だ?」とスタッフの間で話題になった。トレセンでの好プレーによって、中山は柏U-15から誘いを受けるに至った。

 中学3年への進級時に愛宕中サッカー部から柏U-15へ籍を移したが、中山が頭角を現わすまでには若干の時間が必要だった。柏U―15加入後、ほどなくして中山は、足首の故障に見舞われてしまう。

「怪我をしていたので、高校2年生になるまでほぼプレーしていませんでした。だから雄太がどれだけやれる選手なのか分かりませんでした」

 そう話すのは当時柏U-18の監督を務めていた下平隆宏だ。中山がグラウンド脇で柏アカデミーのポゼッションサッカーを見つめながら「早くこの中でプレーしたいです」と下平に漏らしたこともあったという。
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