キルギス戦でテストされた“トップ下・原口”は有効なオプションになるか

カテゴリ:連載・コラム

河治良幸

2021年06月16日

チームとして戦えたのは原口の目立たない働きがあったから

原口は10分のシュートなど見せ場を作った一方、攻撃のリンクマンとしてチャンスを生み出す役割としては十分に機能していた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

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 目立った見せ場は10分、オナイウの落しをミドルシュートで狙ったシーンだが、惜しくも左に外れてしまった。あとは15分にドリブルで仕掛けたが、相手のディフェンスに当たって後方にこぼれたところをオナイウがシュートに持ち込んだ。基本的には視野を広く持ちながら、仕掛けの1つ前のプレーで効果を発揮していた。

 そうしたプレーをどう評価するかは見解が分かれるところだろうが、今回のメンバー構成を考えると理解できるところも大いにある。1トップにオナイウ、右にドリブラーの坂元、左に飛び出しを得意とする浅野がいて、サイドバックの山根と小川も非常に攻撃的なタイプだ。しかもキルギスが5-4-1で中央を閉める傾向が強く、まともな当たりに関しては日本側が劣勢になるほど強かった。

 そうした相手に中央から細かく崩して行く、あるいは突っ込んで強引に攻め切るのは愚の骨頂だし、今回のメンバーの持ち味も生かせない。キャプテンマークを付ける責任感がどこまで影響したかは分からないが、攻撃のリンクマンとしてチャンスを生み出す役割としては十分に機能していた。

 原口らしい奮闘も見られた。3点をリードしてしばらくキルギスが攻勢をかけてきて日本が押し込まれる時間帯があった。結局そこから前半アディショナルタイムの失点につながってしまうわけだが、そうした状況でも身体を張って何度も相手の攻撃を止めたのは、トップ下の原口だった。
 
 今回のメンバーで代表の常連メンバーはGKの川島永嗣と浅野、原口ぐらいで、その他の選手たちは非凡な能力があっても代表経験は浅い。しかも今回の代表シリーズのラストとして最終予選へのアピール合戦の様相が強まるなかで、チームとして戦えたのは原口の目立たない働きがあったからだ。

 もちろん個人として満足して良い内容ではないが、鎌田大地が主力を担う森保ジャパンに1つ、原口のトップ下というオプションが加わる可能性は示した。

 これが最終予選、さらに大目標となるカタール・ワールドカップに向けて、どこまで重要性を高めるかは新天地でのウニオン・ベルリンでのパフォーマンスや今後の競争次第ではある。さらに言えばサイドアタッカーとしての原口のプレーにどこまで影響するかなども気になるが、今回のメンバー構成や置かれた立場などを考えればポジティブに評価できる。

取材・文●河治良幸

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