ワールドカップのアジア２次予選のラストゲーム、キルギス戦は５-１で勝利を収めた。オナイウのハットトリックに、佐々木、浅野が得点。スタメンには多くの国内組が名を連ねたけど、チームとしては誰が出ても規律のあるプレーを見せ、競争、緊張感というものも見て取れた。

　次は９月に最終予選がある。そこに向けて、生き残りをかけた選手たちの強い気持ちも伝わってきた。相手がどうであれ、目の前の試合に勝つためにベストを尽くす。誰もサボらない。ピッチ上ですべてを出し切ろうとする。キルギス戦でチャンスを与えられた選手たちは、それらを表現していたと思う。

　個々の選手たちの力は確実に上がってきている。だからこそ、強化という点を考えると、ヨーロッパや南米の強い国とマッチメイクして、今の日本がどれだけ戦えるかを見てみたい。そうした環境を作ることで、さらなる成長が見込めるはずだ。

　どうしても相手との実力差が否めない２次予選では、判断しきれない部分がある。歯痒いというか、ジレンマがあるというか。仕方がないことではあるんだが……。

　キルギス戦でインパクトを放ったのは、前半だけで代表初ゴールを含むハットトリックを達成したオナイウだろう。４日前のセルビア戦ではゴールネットを揺らすもオフサイドの判定。今回のキルギス戦でこそ点を取ってやろうという想いはあったはず。そして、見事に結果を出してみせた。

　大迫の負傷による追加招集だったとはいえ、しっかりとアピールにつなげることができた。彼の持っているポテンシャルや運を含めて、非常に良かったと思う。ポストプレーも十分にこなせることも証明した。
 

　今回の５・６月シリーズでひとつの収穫となったけど、それは全員にも言えること。川辺や坂元にしろ、これまで地道にやってきて、代表の舞台でも戦力として計算できるパフォーマンスを見せてくれた。

　川辺に関しては、タジキスタン戦で代表初ゴールもマーク。ボランチで守田や橋本と組んでも問題ないし、キルギス戦では右サイドを突破してからのクロスでオナイウの２点目をアシストしたように、予想以上に高い攻撃センスを発揮していた。

　ただ、ひとつ気になるプレーがあった。後半の12分ぐらいだろうか。判断に迷いが見られて、ボールを奪われてしまう。すぐに切り替えて、奪い返そうとする。戻ったところで、味方の頑張りで自分のところにこぼれてきたボールを、ワンタッチで前方にパス。でも、それが相手に渡ってしまった。

【PHOTO】A代表初ゴールから前半だけで圧巻ハットトリックを達成！オナイウ阿道を特集！