こうしたなかフランスには、「トリアングル・ドール（黄金のトライアングル）」結成の夢がじわじわと広がっている。４－４－２の中盤ダイヤモンドで、キリアン・エムバペとベンゼマが２トップを組み、トップ下にグリエーズマンを置くという攻撃布陣だ。

　もっとも４－２－３－１でも、三角形はやや左にずれるだけだ。トップにベンゼマ、左にキリアン・エムバペ、トップ下にアントワーヌ・グリエーズマン、右にはキングスレー・コマンかウスマンヌ・デンベレ。いずれにせよ対戦相手に応じて変幻自在に適応させるのがデシャン監督だ。

　今回はコロナの影響もあり、開幕直前のプレパレーションマッチが２試合のみ。その最初は６月２日のウェールズ戦（ニース）だ。

　ヨーロッパのカップ戦を戦ったエヌゴロ・カンテら数人が遅れて合流するため、このウェールズ戦はまだベストメンバーにはならない。だがもしかすると、「ベンゼマ＆エムバペ＆グリジ」の黄金のトライアングルを試す可能性もある。

　記者会見で「リーダーであることは俺にとってナチュラルなこと。経験もある。（レアルで）リーダーシップを獲得した」と語ったベンゼマは、フランス代表のピッチ上でもそれを証明できるだろうか。フランス中と世界中が注目している。

取材・文●結城麻里
Text by Marie YUUKI