定まらないクラブの未来、惨状を極めるピッチ上のチーム…。

再三にわたってパソット記者は、本田こそ来季以降のミランに不可欠な存在であると力説し、残留を確信している。残り4試合で、ミラニスタにも残留を希望させるほどのプレーを本田は見せられるか。 (C) Getty Images
この2人の候補者たちは今、ベルルスコーニがどんなビジネスゲームを仕掛けてくるのか、必死で模索しているところだ。無理もない。少し前まで、ベルルスコーニは株のほぼ全てをテチャウボン氏に受け渡すと信じられていた。しかし、彼はテレビカメラの前で、突然打つ手を変えてきた。
「私はこれからも51パーセントの株を保有し、会長の座に留まる」
彼の言葉に、誰もが面食らった。しかし、これには条件が付いていた。ミランが今後、イタリアのトップに、そして欧州に返り咲いた際には、新たな株主に正式にチームを譲るという。
この申し出を投資家に承知させれば、ミランには何億ユーロという金が降り注ぐだろう。しかし、果たして筆頭株主でもない人間が、莫大な資金をミランに投下したりするものだろうか?
そこで、今度はそれを補う新たな方法が浮上してくる。まずは、中国をはじめとしたアジア諸国で収益を上げることだ。これらの国々では、ミランは非常に有名であり、多くのサポーターを持っている。
特に本田圭佑は、日本だけでなくアジアでも人気がある。だからこそ、私はミランが彼を手放すことは絶対にないと思っている。これらの国でブランド展開を行なえば、黙っていてもかなりのロイヤリティがミランに入ってくるだろう。また、香港や上海の株式市場への参入も考えられる。
とにかく、ベルルスコーニは前述の2つのグループのうち、どちらと手を組むかを決めなくてはならない。今回は半分以下の株の保有でも、そう遠くない将来(2、3年)、筆頭株主となれるといオプションがつけられことも大いにありうる。
いまだ定まらない組織の未来。そしてピッチ上では、惨状を極めるチームの姿がある。ミランは34節のナポリ戦で3連敗を喫し、これで5試合勝利なし。フィリッポ・インザーギがミランのベンチに座るのも、最終節の5月31日まで。その後も、“ピッポ”が監督を続けられる可能性はまずないだろう。
ウディネーゼ戦とジェノア戦のミランはひどかった。しかし0-3で敗れたナポリ戦は、前の2試合の敗戦とは少し種類が違った。マッティア・デ・シリオの開始1分にも満たない時間での電撃退場により、チームの全てのシステムが崩壊、90分間フル出場を果たした本田も、それに巻き込まれてしまったのだ。
とはいえ、それで敗北が正当化されるわけではない。チームが根本的な部分で機能していないのは、これまでと変わらない……。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。
「私はこれからも51パーセントの株を保有し、会長の座に留まる」
彼の言葉に、誰もが面食らった。しかし、これには条件が付いていた。ミランが今後、イタリアのトップに、そして欧州に返り咲いた際には、新たな株主に正式にチームを譲るという。
この申し出を投資家に承知させれば、ミランには何億ユーロという金が降り注ぐだろう。しかし、果たして筆頭株主でもない人間が、莫大な資金をミランに投下したりするものだろうか?
そこで、今度はそれを補う新たな方法が浮上してくる。まずは、中国をはじめとしたアジア諸国で収益を上げることだ。これらの国々では、ミランは非常に有名であり、多くのサポーターを持っている。
特に本田圭佑は、日本だけでなくアジアでも人気がある。だからこそ、私はミランが彼を手放すことは絶対にないと思っている。これらの国でブランド展開を行なえば、黙っていてもかなりのロイヤリティがミランに入ってくるだろう。また、香港や上海の株式市場への参入も考えられる。
とにかく、ベルルスコーニは前述の2つのグループのうち、どちらと手を組むかを決めなくてはならない。今回は半分以下の株の保有でも、そう遠くない将来(2、3年)、筆頭株主となれるといオプションがつけられことも大いにありうる。
いまだ定まらない組織の未来。そしてピッチ上では、惨状を極めるチームの姿がある。ミランは34節のナポリ戦で3連敗を喫し、これで5試合勝利なし。フィリッポ・インザーギがミランのベンチに座るのも、最終節の5月31日まで。その後も、“ピッポ”が監督を続けられる可能性はまずないだろう。
ウディネーゼ戦とジェノア戦のミランはひどかった。しかし0-3で敗れたナポリ戦は、前の2試合の敗戦とは少し種類が違った。マッティア・デ・シリオの開始1分にも満たない時間での電撃退場により、チームの全てのシステムが崩壊、90分間フル出場を果たした本田も、それに巻き込まれてしまったのだ。
とはいえ、それで敗北が正当化されるわけではない。チームが根本的な部分で機能していないのは、これまでと変わらない……。
文:マルコ・パソット(ガゼッタ・デッロ・スポルト)
協力・翻訳:利根川晶子
Marco PASOTTO/Gazzetta dello Sport
マルコ・パソット
1972年2月20日、トリノ生まれ。95年から『ガゼッタ・デッロ・スポルト』紙で執筆活動。2002年から8年間ウディネーゼを追い、10年より番記者としてミランに密着。ミランとともにある人生を送っている。