連載|熊崎敬【蹴球日本を考える】物足りなさが残った浦和とG大阪の頂上決戦

カテゴリ:Jリーグ

熊崎敬

2015年05月03日

勝者が素晴らしかったというより、敗者に問題があった。

システム上の優位性を活かし、サイドで主導権を取り続けた浦和。特に後半、関根が投入されてからは相手をさらに押し込んだ。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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システム上の不利に対し、策を講じることなく敗れ去ったG大阪。よりシビアな駆け引きを求めたい。 写真:田中研治

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 前半が0-0で終わった時、私は「これはG大阪が勝つかな」と思った。主導権を握りながらチャンスを決められず、終盤、カウンターから崩れる……。そうした結末を、これまで何度も見てきたからだ。

 だが、この日の浦和は悪いパターンに陥ることはなかった。関根と李を投入することでG大阪に圧力をかけ続け、84分、宇賀神からの折り返しをズラタンが押し込む。システムの優位を活かしたサイドからの攻撃が、決勝点につながった。

 浦和は最後までシステムの優位を押し出し、勝点3を掴んだ。敵陣でボールを失っても休まず、すぐに潰しにかかった。だが厳しい見方をすれば、勝者が素晴らしかったというより、敗者に問題があったように思える。

 右SBのスペシャリストが不在だったG大阪は、バランスが悪いうえに、連戦の影響から終盤に走力を欠いた。そしてなにより、システムの不利に無頓着なまま、ゲームを続けていた。それは浦和の拙攻を期待しているかのような試合運びにも見えた。

 浦和はシュートの意欲と精度を高めなければならない。システムの不利を放置したG大阪は、もっとシビアな駆け引きをしなければならない。

 5万3000人が見届けた埼スタ決戦――それは日本の最高峰を争うゲームとしては、物足りなさが残るものだった。

取材・文:熊崎 敬
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