攻守にいまひとつの出来… DFB杯・バイエルン戦でなぜ香川は輝けなかったのか

カテゴリ:Jリーグ

山口裕平

2015年04月29日

皮肉にも香川が下がったことで狙いがシンプルになり決定機が増加。

バイエルン戦では輝けなかった香川だが、勇退する恩師の花道を飾るべく、決勝の舞台では本来の実力を発揮したい。(C) Getty Images

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 ただし、バイエルンも中央のスペースをケアしてくるため回数は限られたが、香川が上手く相手のギャップでボールを受けた場面では、素早い反転で前を向き、一気にバイタルエリアに侵入した。
 
 それでも、バイエルン守備陣は香川のシュート意識が低いと見たのか、冷静にラインを下げて対応。香川からのパスコースを寸断する守備を見せた。すると、29分にはカウンターから香川が前を向いてチャンスを作り出そうとするが、ロイスへのスルーパスをカットされ一転ピンチを迎えてしまう。
 
 ボールを奪ったバイエルンは、ベナティアが素早く前線にロングフィード。これに反応したレバンドフスキが抜け出し、シュートは一度ポストに弾かれるも、こぼれ球を落ち着いてソクラテスの股下に流し込み、バイエルンが先制に成功した。
 
 結果的に失点につながってしまったことを悔やんだ香川だが、
「あそこで前を向けたらすごくスペースがあった。(中略)失点はしましたけど、ああいうシーンがもっと増えてくるかなと思ったし、そうなればチャンスになるなと思っていた」
とギャップでボールを受けてバイタルエリアに侵入していくプレーには、ある程度の手応えを感じていた。
 
 だが、香川が下がったことで結果的にドルトムントの攻撃の狙いはシンプルになり、5分後には香川と交代で入ったムヒタリアンの折り返しをオーバメヤンが押し込み同点に。直後にもムヒタリアン、ロイスが決定機を迎えるも、ここはノイアーが立ちはだかった。その後はロイスとオーバメヤンのスタミナが限界に達し、バイエルンが優勢に試合を進めたが、延長戦でも決着が付かず、勝負はPK戦へ。
 
 PK戦では先行のバイエルンがラームとアロンソが足を滑らせて失敗。一方ドルトムントは3番手のフンメルスが失敗するも、バイエルンはその後のゲッツェとノイアーも決められず、ドルトムントが2-0でPK戦をモノにした。
 
 試合後、香川は「チームとして良いサッカーはできなかったかもしれないけど、全員の気迫と気持ちで勝ち取った勝利だったから、すごく嬉しかった」とこの勝利の意味を語っている。
 
 今季限りでの退任を表明しているクロップ監督の花道を飾るためにも、ドルトムントの選手たちにはバイエルンに勝って決勝の舞台ベルリンへ、という気持ちが強かったはずだ。「優勝して良い形で終われれば」と語る香川も気持ちは同じだ。

取材・文:山口裕平
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