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シュツットガルトの遠藤航はもう、無名の選手ではない。相手チームも警戒する、その傑出した能力とは?【現地発】

カテゴリ:海外日本人

中野吉之伴

2021年02月07日

遠藤は、相手チームが警戒すべき存在となっている

6日の第20節レバークーゼン戦でもキャプテンマークを巻いて90分間プレーした遠藤。(C)Getty Images

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 よくあるボランチの選手に見られるミスに、状況を考慮せずにボールを受けたがるという特長がある。そしてパスを受けたものの次の展開ができずに困り、結局はGKへバックパス、あるいはそこで相手に囲まれてボールロスト。だが、サッカーは相手ありきのスポーツだ。相手の狙いを見極めたうえでプレーの選択をしていくことこそが必要になる。

 その視点から遠藤のプレーを観察していると、自分が動かないことで相手をひきつけ、味方選手がプレーしやすい状況を作っていたり、味方のパス回しが機能し、相手選手が動いて対応しようとした時に、そのずれに入り込んでパスコースを作ったりする。そのタイミングがとてもいい。

 それだけではない。基本的なプレーをするほかに、苦しい時には自分のところで相手を1~2人を外し、チャンスの起点を作るプレーをすることができる。これが、チームの好調要因のひとつだ。

【ハイライト動画】遠藤がキャプテンマークを巻いてプレーしたボルシアMGとの一戦はこちら
 遠藤はすでに無名の選手ではない。シュツットガルトの主軸として相手チームに分析され、対策を練られている選手だ。シュツットガルトがビルドアップから攻撃を組み立てようとしていると、相手ベンチから「エンドー!」という声が聞こえてくる。CBから遠藤へのパスコースを消せという指示だ。

 例えば、RBライプツィヒは本来左右のWBの位置に入るアンヘリーノとハイダラの二人が普段以上にセンターよりにポジショニングをとり、CBからボランチの遠藤やマンガラへのパスを消そうとしていた。
 序盤はなかなかボールに触る頻度も少なく、シュツットガルトも攻撃をうまく組み立てられなかったが、徐々に遠藤がパスを引き出していた。相手を背負いながらボールを受け取り、そこで相手を引き付けてから味方へ戻す。そうすることで仲間のスペースを作り出す。

 ボールが前に運ばれれば、移動してボールをもらい直す。相手に囲まれても簡単に失わない。ボールを動かし、相手との間に身体をうまく滑り込ませ、すり抜けていく。押されても倒されない。そしてパスを前線に届けていくのだ。

 ピッチ上のリーダーとして、チームに確かな方向性をもたらすことができる選手というのは本当に貴重だ。ファンからも、キャプテンマークを巻くのは当然という声が多い。

 20節終了時で6勝7分7敗のシュツットガルト。チームとしての潜在能力はドイツ・メディアからも高く評価されている。今の順位で満足はしていないはずだ。ここからが正念場。ファンの期待を背負い、リーダーとしてチームをさらに上の順位へと導けるだろうか。今後の活躍が楽しみでならない。
 
筆者プロフィール/中野吉之伴(なかの きちのすけ)

ドイツサッカー協会公認A級ライセンスを保持する現役育成指導者。執筆では現場での経験を生かした論理的分析が得意で、特に育成・グラスルーツサッカーのスペシャリスト。著書に「サッカー年代別トレーニングの教科書」「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」。WEBマガジン「中野吉之伴 子どもと育つ」(https://www.targma.jp/kichi-maga/)を運営中
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