【日本代表】本田圭佑の「二面性」が示す新チームの岐路

カテゴリ:日本代表

塚越 始(サッカーダイジェスト)

2015年04月01日

無得点に終わったが、「このサッカーでなにが必要かは明確になった。新鮮な気持ちがする」と多くの収穫も。

久々にゲームキャプテンとして試合に臨み、“先頭”に立ってチームを引っ張った。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

画像を見る

 すでに本田はベンチに退いていた。そして、その失点の引き金になっていたのが、その後代表初ゴールを決めることになる宇佐美の軽率な守備にあった(球際に寄せ切れず、シュートを打たせた)。アタッカーであっても、勝負どころの守備は重要。失点に絡むようではいけない、と婉曲に宇佐美にアドバイスを送っているようでもあった。

 この日の本田はパッとしなかった。序盤は岡崎、香川、乾と連動した高速プレスを発動させ、ハリルホジッチ監督の意図を体現。だが、青山の得点が決まった後、チーム全体の運動量が次第に低下する。やがて劣勢に立たされると、本田も我慢のプレーを続けざるを得なくなる。周りとバランスを取りながら、最低限ミスをせず、ボールをサイドや前方へ散らしていく。37分には、相手を嘲笑うかのような本田のサイドチェンジから、香川、乾とつないでビッグチャンスも生まれた。

 また、交代間際には、本田らしい「スタイル変化」を見せた。

 61分、本田がチャンスを作るべきところでパスをミスし、ボールが相手に渡ってしまったのだ。そのあと日本がボールを取り戻してことなきを得たものの、危うく致命傷になりかねない“してはいけないプレー”だった。

 するとその後、彼はそのミスを挽回すべく、「バランス」から「攻撃的」にギアを上げる。

 それまで本田は右サイドでウズベキスタンの選手のマークを確実に遂行しつつ、攻撃の起点になっていた。が、ミスを犯してからは相手の嫌がる、中央のスペースに出て行くシーンが増加。

 62分、ゴール前へ走り抜けた本田が、完全にフリーになる。その本田の動きを察知した香川が鋭い縦パスを繰り出した、が、相手にカットされてしまい、あと一歩で決定機には至らず……。

 本田は悔しがり、天を仰いだ。

 その後も本田は、再三に渡ってゴール前へ顔を出した。しかしゴールを攻略できないまま、72分、ベンチへ退くことに……。大量5点が決まりながら、そのうち一度も背番号4が得点に絡んでいないというのも、最近では珍しいことだった。

 それでも本田自身にとっては、

「このサッカーでなにが必要かは明確になった。トライしていく楽しみがある。新鮮な気持ちがする」

と、この2試合で多くの収穫を得た様子だった。
【関連記事】
【セルジオ越後の天国と地獄】この2試合は、アギーレでも勝てたよ
【日本代表】金田喜稔がウズベキスタン戦を分析|宇佐美にあえて言いたい。「守備も含めて、局面でもっと身体を張れ」と
【サッカーダイジェストの視点】今回の連戦での最大の収穫は?
【サッカーダイジェスト編集長コラム】快勝劇に潜むライバルの「罠」
【日本代表】チュニジア戦の「10番」はどこへ…香川真司の危機感
【藤田俊哉の目】異彩を放った宇佐美と可もなく不可もなかった香川。両者の立場は逆転した
【日本代表】なによりも「結果」にこだわった宇佐美貴史の入魂の一撃!
【識者コラム】災いは福に転じたか――奥深い能力の一端を示した新監督の辣腕ぶり

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト 王国の誇りを胸に
    4月10日発売
    サッカー王国復活へ
    清水エスパルス
    3年ぶりのJ1で異彩を放つ
    オレンジ戦士たちの真髄
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 特別企画
    5月1日発売
    プレミアリーグ
    スター★100人物語
    絆、ルーツ、感動秘話など
    百人百通りのドラマがここに!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 完全保存版
    1月17日発売
    第103回全国高校サッカー選手権
    決戦速報号
    前橋育英が7年ぶりの戴冠
    全47試合&活躍選手を詳報!
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ