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【消えた逸材】名将ファーガソンに見初められた“次代のアンリ”はなぜ大成しなかったのか?「プライベートを犠牲にしてまでバロンドールは…」

カテゴリ:連載・コラム

ワールドサッカーダイジェスト編集部

2020年12月22日

フットボールが情熱を注ぐ唯一の対象ではなかった

ボルドー時代の13-14シーズン。翌シーズンに移籍したフランス3部のレッドスターで引退を決意した。 (C)Getty Images

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 プレシーズンマッチの初戦でゴールを挙げるなど、ユナイテッドでの滑り出しは上々だった。それでも、ルート・ファン・ニステルローイを筆頭に、ディエゴ・フォルラン、現監督のオレ・グンナー・スールシャールを擁する前線に割って入るのは難しく、同期入団のクリスチアーノ・ロナウドのセンセーショナルな活躍の陰にも隠れ、1年目はリザーブチームとの間を行ったり来たり。2年目はウェイン・ルーニーの加入があってさらに出場機会が減少と苦しんだ。
 
 3年目の05-06シーズンはウェストハム・ユナイテッドにレンタルに出され、ここでも苦戦を続けると1月の移籍市場で今度はニースへと送られる。結局、ユナイテッドにはこのまま失格の烙印を押され、06年の夏にニースへの完全移籍が決まり、その翌シーズンにボルドーへ。上位争いの常連だったボルドーには7年間在籍し、2年目の08-09シーズンにリーグ・アンとリーグカップの2冠を経験した。

 しかし、37試合で12ゴールを挙げた1年目こそレギュラーとして活躍したものの、2年目以降は成績もパフォーマンスも下降線。シーズンで二桁得点をマークしたのも、キャリアを通してボルドーでの1年目が最初で最後だった。
 
 決定的なブレイクスルーを果たせぬまま、最後は3部のレッドスターでひっそりとユニホームを脱ぐことになったのは、前述のようにフットボールが情熱を注ぐ唯一の対象ではなかったからだった。
 アートや音楽が好きで、政治や宗教にも興味があり、「プライベートを犠牲にしてまで、バロンドールが欲しいとは思わなかった」と本人は現役当時のメンタリティーを振り返る。

 英紙『the i』にはこう語っている。

「ほとんどの選手は美術館や博物館には行かない。まるでフットボールだけをするロボットだ。僕はずっとプライベートを大事にしてきたし、この生き方に後悔はない。アートに触れ、映画を鑑賞し、雑誌を読み、ファッションショーに行ったその時間が、クリエーティブな自分を作ってくれたんだ。バロンドールを獲得し、ワールドチャンピオンになっても、それで引退後も幸せでいられるだろうか。フットボールの喜びしか知らない人間がフットボールを失ったとき、何が残っているのか、次に何があるのか」

 フットボールとの新たな関係性を見つけたベリオンは、いま、人生を謳歌している。

文●松野敏史

※『ワールドサッカーダイジェスト』2020年12月17日号より転載
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