メキシコ戦の立ち上がりにどんな連係を見せられるか
外から戦況を見ていた原口元気(ハノーファー)は「サコ君がいることによって何度も助けられたり、僕らが前に行けることは確実にある。彼のようなひとつ確実に時間を作れる場所がないのは不利な点だとは思う」と率直な感想を口にした。その一方で「パナマ戦の前半はうまくいかないなりによくプレーしていたし、コンビネーションでゴール前に迫れるシーンもあった」と南野のトライをポジティブに受け止めていた。やはり大迫がいる時とは異なる攻撃パターンを確立させることがチームにとって重要なテーマとなってくる。それをパナマ戦で再認識できたのは、今後に向けてのひとつの収穫だと言っていい。
後半のように久保、三好らと近い距離でプレーできれば南野のよさは間違いなく光る。実際、後半15分には遠藤航(シュツットガルト)のタテパスを受けた久保が絶妙のスルーパスを送り、反応した南野が相手DFに倒されてPKをゲット。これが決勝点になっている。遠藤の加入によってタテの意識が高まり、相手のペースダウンも手伝って、いいリズムになったのだ。
ただ、長友も「問題は前半。相手の状態がいい時にどんなサッカー、どんな連係ができるのかは自分たちの課題」と指摘した通り、自分たちの攻撃の形を早い段階から出せるかどうかが肝心だ。次戦・メキシコ戦になれば、相手のレベルが一段と上がる。主導権を握られる時間帯も長くなるだろう。それだけに、1トップに入るであろう鈴木は難しい役割を託される。持ち前のスピードや鋭い動き出し、ゴール前の嗅覚という強みを出すのはもちろんだが、DF2~3人に囲まれてもキープする仕事はどうしても必要になってくる。
「大迫選手と比較されて、僕の方がポストプレーで劣っているのは分かっているんですけど、僕は僕なりの特徴があるので、そこでもっと勝負していきたいとは思ってます」と本人は自分なりのやり方で何とかこなそうと考えている様子。それに当たり、ひとつのヒントがあるという。
「コンサドーレ札幌時代のよきライバルで親友だったジェイのプレーを見ていると、ボールを受ける場所だったり、身体の使い方だったり、ファーストタッチの場所だったりは本当に勉強になる。彼からはアドバイスももらったし、間近で見て考えることが多かったですね」と彼は元イングランド代表FWの一挙手一投足を脳裏に叩き込んでいるようだ。
ベルギーに赴いてからイメージに沿ったプレーをピッチ上で表現することで、以前よりは慌てるシーンは少なくなってきた。2016年に半年間過ごした松本山雅時代に反町康治監督(日本サッカー協会技術委員長)から「武蔵はボールが収まらない」と苦言を呈されていたことを考えると、格段の前進を見せているし、伸びしろもまだまだあるはずだ。
そういった起点となる仕事を含め、彼が未来への可能性をメキシコ戦で示してくれれば、1トップ問題の新たな解決策が見えてくる。「コンビネーションでゴール前に迫る回数と解決策を見つけるスピードが大切な部分になる」と原口も前向きに語っていたが、そんな理想像を貪欲に目指してほしい。