欧州で相手との駆け引き、間合いのとり方、身体の使い方が改善され、以前より収まるようになってきたが…
コロナ禍に見舞われた2020年の日本代表にとって最後の活動である11月シリーズ。2021年3月再開予定の2022年カタール・ワールドカップ・アジア予選に向け、森保一監督はチーム戦術や選手層拡大を目指して、様々なトライを続けている。
13日のパナマ戦で約1年ぶりに代表戦に出場した長友佑都(マルセイユ)も「メンバーとフォーメーションを固定してうまくいっている時はいいけど、うまくいかなくなった時に修正が効かない。今、チャレンジしているのはワールドカップで勝つための戦術的な幅、選手の幅を広げること。森保さんのそういう意図をすごく感じるし、僕ら自身も理解している」と発言したが、パナマ戦の3バックスタートや10・11月シリーズでの大幅メンバー変更はプラスに考えていいだろう。
そんななか、1トップも試合ごとに入れ替えながら戦っている。10月のカメルーン戦は大迫勇也(ブレーメン)、コートジボワール戦は鈴木武蔵(ベールスホット)、パナマ戦は南野拓実(リバプール)が最前線に陣取った。鈴木と南野は欧州での高度なプレー経験の積み重ねによって体格差のある屈強なDFとの駆け引きや間合いの取り方、身体の使い方が改善し、以前より前線で収められるケースが多くなった。
とはいえ、大迫に匹敵するポストプレーができるかというと、まだまだ物足りなさも感じられる。パナマ戦の前半はひとつの象徴と言っていい。序盤こそ押し込んでチャンスを作っていた日本だが、徐々にパスがつながらなくなり、相手に主導権を握られ始め、自陣に引いて5バック気味になってしまう。南野、久保建英(ビジャレアル)、三好康児(アントワープ)の前線3枚の距離感も遠くなり、南野が孤立してしまった。
「自分としては裏で1本ゴールに向かうプレーには手応えを感じていた。あれがしっかりつながっていたら、相手のラインが下がってスペースが空いて2列目の選手にもっとボールが入ったんじゃないかと思う。それがチームのためになるという意識があった」と彼は分析したが、前半45分間は状況がなかなか好転しなかった。