【川崎】改めて示した強さの理由。リーグ新記録の11連勝達成に見えた“進化”の証

カテゴリ:Jリーグ

本田健介(サッカーダイジェスト)

2020年10月20日

セットプレーから3得点

2点目のシーン。様々な駆け引きがあったと中村は振り返る。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 さらにこの試合でチームの発展ぶりを改めて象徴したのが、名古屋から3得点すべてを奪ったセットプレーである。

 1点目は「前日の練習で、キッカーを(田中)碧と分担するところがあって、目先を変えるところで碧に蹴ってもらいました。自分とは球種が違うので、そこは準備したことがハマったかなと思います」(中村)と、田中の右CKをニアで谷口が頭ですらしてファーで待っていた三笘がプッシュする形で決めている。

 また2点目はゴールやや左から中村がファーサイドにFKを送り、ジェジエウがヘッド、そのボールがDF中谷に当たりゴールへ。さらに8分後には左CKを得ると中村はショートコーナーを選択。「アドリブに近い形。目先を変える意味で、中の選手も分かっていなかったと思います」と中村の咄嗟の判断で、近くにいた守田からのリターンをこの司令塔はダイレクトでクロスを入れると、再びファーサイドで待ち受けていたジェジエウが今度は美しい放物線を描いたヘッドで3点目を決めた。

 ちなみに2点目のFKは、21節の仙台戦で中村がバー直撃のFKを蹴り、「決められるように練習します」と話していた位置と近いポジション。その布石はあったのか疑問をぶつけてみると、「(名古屋の)ランゲラック選手の頭の中で、自分が仙台戦で打ったシュートのイメージがあったかもしれないです。中で待っている選手も直接あるかもしれないと考えると、最初に下がるはずなので、いろんな駆け引きも含めて合わせようと思いました。距離が遠いというのもありましたが」と話す。
 さてセットプレーの強化で思い出すのは、新型コロナウイルスで約2か月、本格的なトレーニングを積めず、リーグ再開へ急ピッチで準備を進めていた当時の鬼木監督の言葉だ。この頃からチームはセットプレーの強化に乗り出しており、「大きな武器になりますし、ピンチにもなりますので自分たちもしっかり取り組もうと、選手たちにも話しています。過密日程の中では鍵になるはずです」と指揮官はその重要性を語り、実際にリーグ再開後にセットプレーからの得点が増加した際には、こうも続けていた。

「(今季から加わった)戸田(光洋)コーチを中心に、コーチ陣が練ってやってくれています。選手も重要性を分かってきていると思いますし、リーグが再開する前から話していましたが、セットプレーは本当にキーになると思っています。攻守でしっかり点を取りたいですし、点を取らせないことを続けたいです」

 改めて名古屋戦後に指揮官にその話を振ると、人柄を象徴するように、スタッフ陣への感謝を述べつつ、手応えを語る。

「相手のウィークポイントや自分たちのストロングポイントを、戸田コーチを中心に、スタッフがいろいろと練ってくれました。それを実行できたことが素晴らしいと思います。(詳細は)なかなか多くを言えることはないですが、こういうビッグマッチではセットプレーは必ずチャンスにもピンチにもなると思っていたので、そういう意味では、相手に対して変なセットプレーも与えずに頑張ってくれました。相手がしっかりとした守備に対して、セットプレーで点を取ることでダメージを与えることができました。試合に対して、試合巧者というか、そういうものが出せているのではないかと思います」
 
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