「名古屋での冒険はトレジャー」。今なお心に響くストイコビッチの名言(前編)

カテゴリ:Jリーグ

白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

2020年05月29日

「監督は強くないといけない」

華麗な美技をピッチで披露してくれたストイコビッチ。「名古屋での冒険はトレジャー」とは本人のコメントだ。写真:Getty Images

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──Jリーグ元年の93年シーズンは「お荷物チーム」と言われた名古屋(サントリーシリーズは10チーム中9位、ニコスシリーズは8位)も、今や他クラブに一目を置かれる存在です。この20年間の成長をどう見ていますか?

「ベリー、ポジティブ。一度も降格していませんし、クオリティを確実に高めてきたと思います。自分が監督に就任した2008年は、名古屋をトップに押し上げる、美しいサッカーで結果を出す。とにかく強いチームにしたいというのが、私の願いでした」

──2010年シーズンのリーグ制覇で、願いのひとつを叶えたわけですね。

「選手のメンタリティを変えられたのは大きな成功でした。先制されても、終盤までにリードされていても、最後まで諦めずに戦えたのが、あの優勝につながった。以後のシーズンも、トレーニングやミーティングで私のフィロソフィ(哲学)をしっかり伝えています。魂の部分でも戦えていますから、そういう意味でチームの方向性は間違っていません」

──それでも、2013年シーズンの前半戦は大苦戦しました。5月3日の川崎戦から5連敗。難しい時期だったはずです。

「悪い時もある。シーズンを通して同じペースでプレーするのは、不可能に近いですから。重要なのは、困難な状況下でどう立ち上がって結果を出すか。我々には不屈のメンタリティがある。その証に、今は復調していますよね」
 
──確かに、後半戦は強いです。7月13日の鳥栖戦から9戦無敗で、8位に浮上してきました。

「サッカーへの喜びを、みんなの力で取り戻せたと思います。中断期間中のキャンプなどで、選手一人ひとりと腹を割って話せたのは、今考えると大きかったですね。あとは質の向上。効果的なトレーニングで技術的に洗練され、チームとして上手く戦えている。強いグランパス、決定力のあるグランパス、負けないグランパス。今皆さんが観ているのは、そういうグランパスです」

──監督の言葉には、強いパワーを感じます。

「監督は強くないといけません。弱い監督なんて、選手は見たくありませんからね。自ら威厳を示し、自信につながるなにかを与えるのが指揮官の仕事です。その意味で、(リーグ優勝に導いた実績もある)私は監督としての責務を果たしていると自負しています」(後半に続く)

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

※『週刊サッカーダイジェスト』2013年9月24日号より転載。
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