ちょうど23年前の5月28日、ユベントスは至高の舞台で“呪い”をかけられた

カテゴリ:ワールド

吉田治良

2020年05月28日

“オリンピアの呪い”

デル・ピエロのヒールショットで1点を返すも、ドルトムントに敗北。この一戦を境にユーベはCLで呪われている。写真:Getty Images

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 ユーベに呪いがかけられているとすれば、それは“オリンピアの呪い”だろうか。1997年5月28日、ミュンヘンのオリンピア・シュタディオンで行なわれたCLファイナル、ドルトムント対ユーベ戦。当時20歳の新星ラルス・リッケンが放ったループシュートの美しい軌道が、今も目を閉じれば鮮明によみがえる。

 72年ミュンヘン五輪のメイン会場となったオリンピアは、誇るべき伝統と引き換えに老朽化が進み、不粋な陸上トラックを挟んで設えられた傾斜の緩いスタンドは、お世辞にも見やすいとは言いがたかった。メインスタンド側だけに架かった蜘蛛の巣のような屋根は、何度となく補修されたのか継ぎはぎだらけで、ペット・ショップ・ボーイズが歌う『Go West』を力なく反響させていたことを覚えている。

 ドルトムントにとっては準地元ながら、戦前は前年王者ユーベの連覇を予想する声が圧倒的だった。なにしろ、この96-97シーズンから新たにジネディーヌ・ジダン、アレン・ボクシッチ、クリスティアン・ヴィエリといった強力アタッカーを加えたタレント軍団は、ここまで無敗をキープ。しかも準決勝では、1年前のファイナルで死闘を演じたアヤックスを、2試合トータル6-2で粉砕していた。

 事実、試合は立ち上がりからユーベ・ペースだった。開始6分の決定機をヴィエリが確実にものにしていれば、そのまま一気に押し切った可能性もある。

 しかし、序盤のユーベの波状攻撃を、古巣対決となったボランチのパウロ・ソウザ、リベロのマティアス・ザマーを中心に丹念に跳ね返したドルトムントは、29分、34分と“空の王者”カール=ハインツ・リードレが立て続けにネットを揺らし、瞬く間に2点のリードを奪うのだ。

 反撃に出たいユーベだが、41分のジダンのシュートはポストに阻まれ、直後のヴィエリのゴールはハンドの判定で取り消される。不運の影がじわりと忍び寄る。
 
 66分、後半の頭から出場していたアレッサンドロ・デル・ピエロが、ボクシッチのクロスを華麗なヒールで流し込み、ユーベが1点差に迫る。しかし数分後、エリア内でデル・ピエロが倒されるもPKの笛は鳴らない。不運がしっかりとした輪郭を帯びていく。

 そして迎えた71分、投入直後のリッケンが、ピッチに立って16秒後のファーストタッチでユーベGKアンジェロ・ペルッツィの頭上を抜き、勝負は決したのだ。

「フィジカル面ですべての選手がベストの状態だった。我々が勝ったのは偶然ではない」

 試合後、ドルトムントのオットマール・ヒッツフェルト監督はそう言って胸を張った。

 一方、敗れたユーベのマルチェロ・リッピ監督は不運の数々を嘆いたが、はたして優位を予想されたチームに油断や慢心はなかったか。
 
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