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酒井宏樹所属のマルセイユに激震! クラブ批判のヴィラス・ボアス監督が退任を示唆し、会長には殺人予告が…【現地発】

カテゴリ:ワールド

結城麻里

2020年01月19日

会長と指揮官の衝突、選手はどちらの側についたのか?

 この背景には、エロー会長による突然の人事があった。

 選手たちをプレミアリーグに売却すべく、昨年末にウェスト・ハム、レスター・シティ、マンチェスター・シティなどのフロントを歴任したイギリス人、ポール・アルドリッジを「特別アドバイザー」に招聘。これにより、、フロリアン・トバン、モルガン・サンソン、マキシム・ロペズら人気銘柄はもとより、酒井宏樹を含む「全員が売り対象」(『L’EQUIPE』紙)になったと言われている。

 当然この人事は、アンドニ・スビサレッタSDの領域を犯すことにもなるのだが、会長からその事実を伝えられたのは12月30日になってから。ヴィラス・ボアス監督に対しては、会長の口から何の説明もなく、会見の1週間前にSDから知らされたそうだ。そのため、自身を招聘してくれたスビサレッタのために憤激したという意味合いもある。

 ヴィラス・ボアス監督は会見の翌日、選手たちを集め、秘密裏に何かを決められるのは受け入れられないこと、スビサレッタが去るなら自分も去ること、団結して自分に付いてきてほしいこと、などを伝えたと報じられている。
 

 選手たちの立場は、「100パーセント監督を支持」(『L’EQUIPE』紙)だ。公式戦12試合無敗を実現している勇者たちは、「選手たちにも褒美を与えるべき」と主張してくれた指揮官に、しっかりついていく構えだという。CL出場権が手の届くところにあるこの時に、出ていきたいと思う選手も多くはないだろう。

 ヴィラス・ボアスはリーグ・アン第20節を終了した時点で、パリ・サンジェルマンのトーマス・トゥヘルを抜き、監督の平均採点でリーグ1位(5.90)に躍り出た。第12節時点ではしんがりだっただけに、驚愕の“登頂”である。サポーターも絶対王者のパリSGに次ぐ2位につけていることに誇りを感じ、チームをサポート。会長辞任を求める横断幕もすっかり消え、美しき熱狂のヴェロドロームが戻っていたのだが……。

 では今後はどうなるだろうか?

 エリートタイプで、もともと不人気なエロー会長。カネのことしか考えないアメリカ人オーナー。赤字を理由に制裁しようとする欧州サッカー連盟(UEFA)。そんななか、ひたむきに戦う監督と選手たちを、人々はやはり応援したくなるというものだろう。

 会長の出方とチームの今後に、大きな注目が集まっている。

取材・文●結城麻里
text by Marie YUUKI
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