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【消えた逸材】ペップが太鼓判を押した「メッシ2世」。マンC移籍を境にキャリアは下降線を描き…

カテゴリ:ワールド

下村正幸

2019年11月23日

逃げるようにマンCに移籍

14-15シーズンのマジョルカ時代は、6試合・0得点とノーインパクトに終わる。(C)Getty Images

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 この逆境に打ち勝つ精神的な強さやパーソナリティーを、ガイ・アスリンは持ち合わせていなかった。彼が取ったのは、環境を変えるという安易な選択だった。シーズン終了と同時にバルセロナを退団し、オファーを受けていたマンチェスター・シティに逃げるように移籍した。
 
「バルサを退団してから、僕のキャリアは選択ミスの連続だった」
 
 後年、本人がそう述懐しているように、この移籍を機に事態は好転するどころか、悪化の一途を辿っていった。
 
 当時のシティは、クラブを買収したアブダビの王族の贅沢なオイルマネーを背景に、ビッグネームを次々と釣り上げていった時期であり、チームを率いるのは結果をなにより重視し、手堅い采配に特徴があるロベルト・マンチーニ。実績も経験もないガイ・アスリンの居場所は、どこにもなかった。
 
 結局、トップチームで一度も出場機会を得られないまま、1年半でイングランドでの挑戦は終わりを告げた。
 
 キャリアはここから一気に下降線を描く。12年夏にスペイン2部のラシン・サンタンデールに移籍するも、チームの降格に伴い1年で退団。翌シーズンに渡ったエルクレスでも降格の憂き目に遭うなど運にも見放され、以降は毎年のようにチームを転々とする放浪生活を強いられた。
 
 移籍を繰り返すたびにオファーの数は減っていき、母国イスラエルのハポエル・テルアビブを経て、16年夏にはスペイン2部Bのサバデルに加入した。その1年半後に移籍したカザフスタンのカイラトでは、わずか45日でスピード退団。以降、無所属の状態が続いていたが、19年9月、ルーマニアのCSMSヤシと単年契約を結んでいる。
 
 結局、グアルディオラの言葉と逆行するように後先を考えずにバルサを退団し、一番の伸び盛りの時期をシティのリザーブチームで無為に過ごしてしまったことが、その後のキャリアに大きな影を落とす結果となった。
 
「大きなプレッシャーだった。何の助けにもならなかった」
 
 本人が振り返るように、「メッシ2世」の重すぎる看板が、キャリアを通じてマイナスに作用したのも間違いない。
 
 かつての天才少年の凋落は、我々に多くのことを問いかけている。
 
文●下村正幸
 
※『ワールドサッカーダイジェスト』2019年10月17日号より転載
 
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