【岩本輝雄】マリノスの強さはホンモノ。絶好調のチームを支えるのはボランチの…

カテゴリ:連載・コラム

岩本輝雄

2019年11月12日

なんでもないショートパスこそ見るべきポイント

優勝に向けて邁進するマリノスにおいて、ボランチの喜田の貢献度は見逃せない。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

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 右ウイングの仲川、左ウイングのマテウスの仕掛けも迫力十分で、序盤に2ゴールを挙げたCFのエリキも、ここにきて高い決定力を発揮している。

 個々の能力と攻撃的なスタイルがしっかりと噛み合い、優勝に向けて邁進するチームのなかで、ボランチのもうひとり、喜田の貢献度に触れないわけにはいかない。

 彼は今年、グッと伸びたと思う。右肩上がりの成長曲線を描いている。ポゼッションを重視するマリノスのボランチとして、なによりもボールを受ける前の動きが素晴らしい。

 今、パスを受けたほうがいいのか。ここに立っていればパスが出てくるのか。あるいは、自分がここにいれば、相手を絞らせて味方をフリーにできる、とか。そうしたことを本当によく考えて、実践しているように思う。

 あえて相手のCFの近くでパスを受ける。そこで相手が食いついてきたら、CBのチアゴにすぐリターン。チアゴの前方には持ち運べるスペースができている、とか。なんでもない喜田のショートパス1本こそ、見るべきポイントかもしれない。
 
 敵陣に入った時には、喜田は前方や斜めにガッと走り出す時がある。相手が来なければ、バイタルエリアで自分がフリーになれる。相手がついてくれば、真ん中が空く。つまり、トップ下のマルコスがフリーになる。攻撃のキーマンであるマルコスが前向きに気持ちよくプレーできているとすれば、それは実は喜田のおかげだったりもする。

 喜田のプレーはシンプルで、余計なことはしない。強いチームのボランチって、“自分が、自分が”とボールをこねくり回す傾向があるけど、喜田は違う。何をやるべきか、何をやってはいけないか。自分の役割をしっかりと理解している。さすが、マリノスのキャプテンマークを巻くだけの選手だと改めて思ったよ。

 ポゼッション重視といったけど、同じようなスタイルのフロンターレと比較すると、マリノスはよりスピーディだ。攻守の切り替えも早い。外国人選手がフィットしていて、中堅がどっしりと構えて、若手も順調に伸びている。今のチーム状態を見る限り、優勝してもおかしくないはずだ。その強さは本物だと思うし、優勝してほしいね。
 
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