【戦評】鹿島もFC東京も勝てなかった“アウェー鳥栖戦”で、横浜はいかに勝利を掴んだか

カテゴリ:Jリーグ

広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

2019年11月03日

「つなぐことに対しては、自信と誇りを持ってやってきたので」(喜田)

『アタッキング・フットボール』をチームに植え付けた横浜のポステコグルー監督。鳥栖戦については「ゲームコントロールできない難しい時間帯もあったが、その中でもチャンスを作り、勝利を手にできた」とコメント。写真:徳原隆元

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 ペースを握る鳥栖が高い位置から奪いにこようとする。前から圧力をかけてくる。それでも横浜は自陣から丁寧につなごうとする。

 怖さはなかったのか。そんな質問に対し、横浜の選手たちは次のように答える。

「自分たちのサッカーをどういう状況でもやるっていうのが、頭の中にみんな入っているので。そういうところでしっかりつなげた時は、相手を剥がせている。そこはやりきる大切さというか、チームの中で意思統一できていると思う」(扇原貴宏)

「プレッシャーがきているのは前だけだから、そこをかわせたら、相手の中盤以降、後ろは下がっている状態だったので、一気にカウンターになって、自分たちのチャンスにもなる。お互いに、戦術のぶつかり合いみたいな感じじゃないですか。お互いにリスクもあって、それを背負いながら、やり通した。取られるシーンもあったけど、成功するシーンもあった」(畠中)

「自分たちがやってきたことは何かと、そこに立ち返ると、やっぱりつなぐことに対しては、自信と誇りを持ってやってきたので。そこに対しては別に揺るがなかったし、もちろん相手の陣形を見て、シンプルに前、という選択が良い時もある。それは状況を見ながらだけど、つなげる時はつないでっていうのは、みんなの意識としてブレていなかったんじゃないかなと思う」(喜田)

 しっかりと勝ち切ったことはもちろん、自分たちのサッカーを貫いて勝ち取った勝点3の意味は大きい。これまでやってきたことに間違いはないと、自信はさらに深まり、逆転優勝へのラストスパートに向けて弾みもつくはずだ。

「(このまま逃げ切ろうとしたのは)ロスタイムを含めて、最後の5分ぐらいだと思う。それまでは3点目を狙っていたし、そういうサッカーをやっているので」(扇原)
 
 過去の苦い経験も無駄にはしていない。たとえば、15節のアウェー清水戦。エジガル・ジュニオのゴールで先制し、後半に一時追いつかれても、仲川輝人の一撃で突き放す。だが、その後に2失点。手痛い逆転負けを食らった。

「(アウェーの雰囲気に)飲み込まれそうな試合は、今シーズン、何回も経験しているし、エスパルス戦とか負けたりしたけど、そういう経験が活きて、今につながっている」(畠中)

 喜田も確かな手応えを口にする。「(鳥栖戦は)失点したけど、相手のホームの雰囲気のなかで勝ち切れたのは、チームとしてひとつ大きかったと思う」。

 リーグ戦では8月24日の名古屋戦から7戦負けなし。内訳は6勝1分。ひとつの引き分けを挟んで、二度の3連勝を飾り、横浜は優勝戦線に踏みとどまっている。残り4試合。掲げる『アタッキング・フットボール』を貫き、頂点を目指して突き進むだけだ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)
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