[J１リーグ第30節]鳥栖１-２横浜／11月２日／駅スタ

　もっと貪欲に、ゴールを狙ってもいいのではないかと思う。

　横浜のキャプテン、喜田拓也のことだ。ボランチというポジション柄、そこまで得点機会があるわけではないが、以前に比べるとシュートへの意識が高まっている印象を受ける。

　２-１で勝利した鳥栖戦でも、後半に絶好機が訪れる。右サイドからの崩しに反応してゴール前に侵入。クロスに右足を合わせたが、上手くミートできなかった。

「あれはシンプルに、かすってしまったけど、あそこに顔を出せて、シュートを狙える位置でもあった。そこで決められるように」

　そう振り返る喜田だが、そこまでゴールに強いこだわりがあるわけではない。

「自分が点を取りたいっていう欲は、そこまでは。もちろん、取れればいいけど、他にもっと勝つために必要なことがあれば、そっちをやる。フィニッシュに絡むのが最善だと判断すれば、そうするだけ。自分の欲を満たすよりも、チームが勝つために何をすべきか。その比重のほうが大きい」

　それが正解なのだろう。まったく異論はない。ただ、どんな時でもチームの勝利を最優先に考えて行動し、献身的に下支えしてきたキャプテンがゴールという目に見える結果を出せば、チームにまた新たな勢いが生まれるような気もする。「キーボー」の愛称で周囲から厚い信頼を寄せられる生え抜きボランチのさらなる活躍に期待したい。

取材・文●広島由寛（サッカーダイジェスト編集部）

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