伝説のOBたちがいま明かす、埼玉サッカー界が誇る“鬼マツ”松本暁司の奥深き生きざま──

カテゴリ:高校・ユース・その他

河野正

2019年09月17日

漫画『赤き血のイレブン』のモデルとなるほどに

1977年5月、海外遠征に臨んだ浦和南イレブン。中列右から3人目が松本監督で、後列右端には若き水沼氏の姿も。(C)Getty Images

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 元日本代表の越田剛史さんは石川・金沢桜丘高校では無名だったが、松本先生が所用で当地を訪れた際に才能を見抜き、日本ユース代表の松本育夫監督に推薦。筑波大1年で出場した1979年のワールドユース(現U-20ワールドカップ)を足掛かりに、日産自動車と日本代表で活躍するまでに至る。すべては松本先生のけい眼のおかげだ。
 
 武南がまだ強豪への道を模索していた頃は、若き熱血漢の大山監督に目を掛けた。静岡きっての古豪・藤枝東が浦和南に遠征してくると、武南に腕試しの機会を提供。今年3月に勇退した大山さんは「威勢のいい若い私を歓迎し、随分とかわいがっていただいた。よく練習試合に呼んでもらえたのも、まだ武南なんぞに負けないという絶対的な自信があったからでしょうね。うちが埼玉を獲るかもしれないのに、そんなことにはお構いなく鍛えてくれた。懐が深く、ほかの監督とは度量がまったく違った」と述懐したものだ。
 
 違ったのは度量だけではない。個を徹底的に磨いて組織を完成させる腕っこきの指導者でもあった。
 
 漫画『赤き血のイレブン』は浦和南が原型で、主人公は永井良和さんがモデル。1969年度、永井さんは2年生ながら全国高校総体(インターハイ)を皮切りに、国民体育大会を無失点で制し、総仕上げの全国高校選手権も勝ち、単独優勝としては史上初の3冠達成に尽力したエースFWだった。
 
 そんな英雄も1年生の頃は、ヘディングが下手で合同練習に最初から入れてもらえなかった。「毎日ペンデルボールでヘッドの練習ばかりやっていました」と笑う。3冠を獲得した時の全国高校選手権、苦しみ抜いた愛知・熱田との1回戦は、CKから永井さんが頭で決めたゴールが決勝点だ。「チーム作りと個を伸ばすのが上手く、当時の高校の指導者としては抜きん出ていた」と振り返る。

 
 空中戦の強さではJリーグを代表する選手だった田口禎則さんは、膝を半分曲げた体勢からジャンプヘッドの訓練をくたくたになっても反復。しかも練習場に指定されたのは砂場だ。「長所を伸ばすばかりか、限界さえ超えさせる教えですね。田口の武器は身体能力だと徹底的に鍛えていただいた」と感謝する。
 
 関西、首都圏をまたいで全国高校選手権2連覇に貢献し、OBとしては初めて浦和南を率いる野崎正治さんは左足キックが苦手だった。左も右足と同じように使えるための特訓が始まった。「先生が一緒になって何度も何度も指導してくれた。その甲斐あって左足で素直に蹴られるようになり、全国選手権では左足でゴールを決めました」と回想した。
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