[高校サッカー選手権１回戦]浦和南０-４東福岡／12月31日／NACK
 
　17年ぶりの出場となった浦和南の挑戦は、１回戦であっけなく幕を閉じた。
 
　夏のインターハイではシュートを１本も打たせてもらえず、０-３と完敗を喫した東福岡を相手にリベンジを期して臨んだ。
「押し込まれる展開になるのは分かっていた。相手はサイドバックを軸に攻めてくる。そこをマンツーマン気味にして蹴り合いに持ち込めれば、ウチにも分があると思った」
　４-１-４-１システムの要となるアンカーでキャプテンの鹿又耕作（３年）は、ゲームの狙いをそう語った。
 
　序盤は、浦和南の狙いが奏功。キックオフと同時に敵陣深くへ入り込み、スローインを獲得すると、ロングスローから立て続けに決定機を創出。しかし、シュートはポストと相手GKの好守に阻まれゴールには至らない。
 
その後も出足の早い寄せで強豪相手に一歩も引けを取らない浦和南だったが、16分に東福岡FWの大森真吾（３年）に右サイドからGKの意表を突いたミドルシュートを叩き込まれ、均衡が破られる。すると、「最初は狙い通りできていたけど、徐々にできなくなって……先制点を引きずってしまった」と鹿又が振り返ったように、浦和南はここから守備が乱れ、21分、22分と立て続けに追加点を許してしまう。後半も相手SBの背後にボールを送り込んで反撃を試みたが、及ばなかった。
 
「２点目が痛かった」とは野崎正治監督の言葉。自身は浦和南の選手として、1975、76年度の全国選手権で２連覇を達成。2013年に母校に赴任して初の選手権に挑んだが、「勝たせてあげられてなくて申し訳なかった」と、悔いの残る結果に。
 
この日は、地元埼玉での試合とあって、超満員の観客が詰めかけ、スタジアム周辺の道路は駐車場を求める車で渋滞の列ができるほど。またOBである田嶋幸三・日本サッカー協会会長や解説者の水沼貴史氏なども駆け付け、浦和南への注目度の高さを窺わせた。
 
　『赤き血のイレブン』のモデルとしても知られる浦和南だが、こうした伝統校の復活に心躍らせる地元の人々や関係者の期待感を、選手たちもひしひしと感じ取っていたようだ。