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ブンデス定着を目指して―――這い上がってきたデュッセルドルフの快進撃。理想を現実にするための”哲学”とは【現地発】

カテゴリ:連載・コラム

中野吉之伴

2019年09月01日

レンタルの補強選手ではクラブの未来は描けない

 だが、現実は甘くない。日本人選手の大前元紀が所属していた翌シーズンは17位となり、残念ながら降格。またしばらく2部での戦いを余儀なくされた。それどころか2015-16シーズンには3部リーグ降格の危機にも直面していた。

 指揮官の首はどんどんすり替わり、1シーズンの間に3人がその席を譲る事態にも陥ってしまう。最後の可能性をかけて監督に迎えられたのがフリドヘルム・フンケルだった。

 ドイツで「2部リーグのエクスパート」と高く評価されているフンケルは、人心掌握がうまく、選手の力を引き出す術に長けている。同シーズン降格を免れたチームは少しずつ力を蓄え、ついに17-18シーズンにブンデスリーガへの復帰を果たすことができた(当時は宇佐美貴史と原口元気が所属)。

 ブンデスリーガ定着を果たすために、今季はマンチェスターシティからGKザック・シュテファン、チェルシーからMFルイス・ベイカーをレンタル移籍で補強した。そして、開幕戦では大迫勇也が所属するブレーメンを相手に、3-1で勝利。幸先よく勝ち点3を手にしている。 

 一方、ホーム開幕となった第2節レバークーゼン戦ではカイ・ハベルツらブンデスリーガ屈指の攻撃力を誇るアタッカー陣に前半から押し込まれ、一気に3失点を喫し、静まり返る時間帯もあった。

 だが、後半途中にはファンブロックの一角から「デュッセルドルフ!デュッセルドルフ!」のコールが沸き起こり、瞬く間にスタジアム中が同調。それに呼応するように選手の動きが激しくなった。

 82分、MFモラレスが一矢報いるゴールを決めると、ファンは大歓声を送る。たとえ負けるとしても、ただではやられない。一度の負け、それがどうした。フンケルが作り上げるのは最後まであきらめない集団だ。そのことをファンもよくわかっている。

 そしてよりファンがアイディンティティを感じられるように、クラブは未来に向けて自分たちのクラブ哲学を見つめ直している最中だ。育成にこれまで以上に投資をして、自分たちで選手を育て上げることに力を入れ始めている。レンタルで選手を補強するだけでは、クラブの将来を描くことができないからだ。

 先日、デュッセルドルフのセカンドチームの練習を見学した際に、以前から交流のあるアシスタントコーチのルーカス・シンキビッツからこんな話を聞いた。

「アンドレアス・ランベルツを知っているか? 彼こそがクラブにとって象徴的な存在なんだ。トップチームで315試合に出場し、4部リーグから1部リーグまですべてのリーグでデュッセルドルフのためにゴールを決めた男だ。

 まさにクラブの生き字引ともいえる選手が、今はセカンドチームでプレーしながら、コーチングスタッフとしても動いてもらっている。若い選手は、彼からものすごく多くのことを学ぶことができる」
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