まんべんなく点を取れる武藤、自分の得意な型にこだわる宇佐美。

両者のシュートデータを比較するとPA内ではすべて武藤が上回る。一方、宇佐美はPA外のシュートが多く枠内率も高い。チームが異なるため単純な比較はできないが、武藤がより守備に徹しているのも数字から明らかになった。 データ提供:データスタジアム(株)
宇佐美の幅の狭さは、フィニッシュにも表われている。31節終了時点での個人成績は23
試合・8得点。そのうちペナルティエリア外からのミドルシュートは4得点でJ1最多だ。その他のゴールも、宇佐美でなければ決められないようなスーパーゴールばかりだ。
しかし、それこそが課題とも言える。自分の得意とする型ばかりで、それ意外のゴールに乏しい。それを象徴するのが5-0で勝利した22節・新潟戦後の長谷川監督のコメントだ。
こぼれ球に倉田が詰めた4点目のゴールについて、「本来はもっと近い位置にいた(宇佐美)貴史が行かないといけない、と話をした。(倉田)秋はハーフライン手前から走り出して、最後のところまで詰めていた。逆に言うとああいうプレーが貴史に足りないところ」と指摘している。
今季、長谷川監督からは「15点は取ってくれ」と求められ、それを「最低ラインと思ってやりたい」と話した宇佐美だが、現実は最低ラインの半分だ。
あれこれと考えず、感覚的に長所を出してプレーしてきた宇佐美だが、これから先は自分に足りないものを意識して吸収しなければ、今以上の結果は出ない。
一方の武藤は、リーグ戦30試合で13得点をマーク。そのうち5点は裏への飛び出しからシュートを決めた、いわば得意パターン。だが、そのほかにもクロスに合わせる形で4点(うち2点はヘディング)、さらに足もとで受けてのドリブルシュートでも2点を挙げた。
武藤は自分の得意な型以外でも、まんべんなく点を取れる。ディフェンスの貢献のみならず、この総合力は宇佐美にはないものだ。
自分のやりたいプレーに対するこだわりが強い宇佐美のようなタイプは、とかく伸び悩む傾向にある。しかし、武藤は自らに足りないものと向き合いながら、それを補うように一歩ずつ乗り越えるのが常だった。
まさに「ウサギとカメ」だ。しかし、物語とは違い、まだゴール地点に辿り着いたわけではない。ウサギの逆襲に期待している。
文:清水英斗(サッカーライター)
※週刊サッカーダイジェスト2014年11月25号より
試合・8得点。そのうちペナルティエリア外からのミドルシュートは4得点でJ1最多だ。その他のゴールも、宇佐美でなければ決められないようなスーパーゴールばかりだ。
しかし、それこそが課題とも言える。自分の得意とする型ばかりで、それ意外のゴールに乏しい。それを象徴するのが5-0で勝利した22節・新潟戦後の長谷川監督のコメントだ。
こぼれ球に倉田が詰めた4点目のゴールについて、「本来はもっと近い位置にいた(宇佐美)貴史が行かないといけない、と話をした。(倉田)秋はハーフライン手前から走り出して、最後のところまで詰めていた。逆に言うとああいうプレーが貴史に足りないところ」と指摘している。
今季、長谷川監督からは「15点は取ってくれ」と求められ、それを「最低ラインと思ってやりたい」と話した宇佐美だが、現実は最低ラインの半分だ。
あれこれと考えず、感覚的に長所を出してプレーしてきた宇佐美だが、これから先は自分に足りないものを意識して吸収しなければ、今以上の結果は出ない。
一方の武藤は、リーグ戦30試合で13得点をマーク。そのうち5点は裏への飛び出しからシュートを決めた、いわば得意パターン。だが、そのほかにもクロスに合わせる形で4点(うち2点はヘディング)、さらに足もとで受けてのドリブルシュートでも2点を挙げた。
武藤は自分の得意な型以外でも、まんべんなく点を取れる。ディフェンスの貢献のみならず、この総合力は宇佐美にはないものだ。
自分のやりたいプレーに対するこだわりが強い宇佐美のようなタイプは、とかく伸び悩む傾向にある。しかし、武藤は自らに足りないものと向き合いながら、それを補うように一歩ずつ乗り越えるのが常だった。
まさに「ウサギとカメ」だ。しかし、物語とは違い、まだゴール地点に辿り着いたわけではない。ウサギの逆襲に期待している。
文:清水英斗(サッカーライター)
※週刊サッカーダイジェスト2014年11月25号より

選手として進化すべく、フィジカル強化にも着手している宇佐美。ナビスコカップでは主軸として自身初のタイトルを手にするなど、着実に前進を遂げている。今季、さらに多くの勲章を得られるか。 (C) SOCCER DIGEST