ブラジルのGK育成事情に迫る! 「行くところには草も生えない」と揶揄される国でアリソンらはいかに育まれたのか?

カテゴリ:ワールド

沢田啓明

2019年07月06日

131ゴールをマークした伝説のGK

インテルの3冠に貢献したジュリオ・セーザルは、大柄ながら足下の技術が高く、ピンポイントのロングパスを通すことができた。(C)Getty Images

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 身長181cmと小柄だったタファレルは、優れた状況判断、鋭い反射神経、高度なキャッチング技術を持ち、PKで無類の強さを発揮した。南部の強豪インテルナシオナウの下部組織育ちで、19歳でトップチームに上がり、88年に22歳というGKとしては異例の若さで代表入り。90年に渡ったパルマ(イタリア)でもすぐさま活躍し、世界の主要リーグで認められた最初のブラジル人GKとなった。

 94年のアメリカW杯ファイナルのPK戦でイタリアの4人目、ダニエレ・マッサーロのキックを見事に止め、ブラジルを通算4度目の優勝に導いたタファレルは、03年に現役を引退。現在は、98~01年に所属した古巣ガラタサライとブラジル代表のGKコーチを兼務している。

 タファレルの活躍により、欧州におけるブラジル人GKへの評価は格段に高まった。同時にタファレルに憧れてGKを目指す少年が増え、その中からACミランで正守護神を務めたジダやFCポルトで05年から16年までプレーしたエウトン、09-10シーズンのインテル・ミラノで3冠を果たしたジュリオ・セーザルら世界レベルのタレントが誕生した。

 なかでもJ・セーザルは、いかにもブラジル人らしい特長を備えた選手だった。活きたのは、少年時代にフットサルで足技を磨き、育成年代に左ウイングとしてプレーした経験だ。大柄ながら足下の技術が高く、ピンポイントのロングパスを通すことができた。

 傑出したキックの能力でGKの概念を打ち破った偉大な選手もいる。ロジェリオ・セニだ。

 欧州でのプレー経験がないため国際的な知名度はあまり高くないものの、90年から15年までの実に26シーズンに渡ってサンパウロ一筋を貫き、通算1237試合に出場して世界歴代最多の131ゴールを記録。元パラグアイ代表のホセ・チラベルトが保持していたGKの最多得点記録を大幅に更新した守護神だ。

 曲がって落ちる鋭いカーブを武器としたFKが「ジーコを凌ぐ」とも評されたロジェリオ・セニは、エースナンバーの「10」を意識した「01」番を付けて活躍。彼に憧れた多くの少年たちが、同じ背番号を纏ってプレーしたものだった。
 
  こうしてGKは「誰もが嫌うポジション」ではなくなった。誰もが憧れるとは言わないまでも、少なくとも若者たちにとっての目指すべき選択肢のひとつとして定着したのだ。

 では、ブラジルにおける近年のGK育成事情はどうなっているのか。

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