【英国人記者の目】英国のファンはCL決勝でトッテナムの勝利を願っている。なぜなら…

カテゴリ:連載・コラム

スティーブ・マッケンジー

2019年06月01日

ファンは自クラブへの想いを胸に―――。

イングランドファンの願いは届くのだろうか。(C) Getty Images

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 近年に限れば、レスターがプレミアリーグを制覇した際は国全体が祝福ムードだった。

 それは、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッド、シティ、アーセナル、トッテナム、そしてリバプールといったビッグクラブによる優勝ではなかったからだ。レスターはこれらのビッグクラブから脅威とは見なされていなかったので、皆がこの奇跡の優勝を楽しむ気概さえあった。

 今回、レスターほどとはいかなくとも、トッテナムは応援される要素が揃っている。CL決勝を控えたプレミアリーグ最終節でエバートンと対戦した際には、トフィーズ(エバートンの愛称)のファンたちは、自チームの選手たち対して、「ベストな状態でリバプールと対峙してもらうために、タックルやファウルで怪我などさせないように」と促していたほどだ。

 そして、エバートンの公式SNSアカウントは、「おめでとう」と優勝を決めたシティへ祝福のメッセージを送った(隣人であるリバプールをよそに…)。

 さらに、トッテナムの指揮官であるマウリシオ・ポチェティーノの存在がある。

 他のクラブでも、ポチェティーノは好かれており、尊敬を集める存在だ。選手たちを率いる姿には毅然としたものであり、CL準決勝でアヤックスを破った後に泣き崩れていた姿は、ほとんどのフットボールファンが好意的に受け止めた。

 ちなみに、今シーズンはヨーロッパリーグとCL決勝はプレミアのクラブ同士による対戦となったが、これに対しても、イングランドのフットボールファンたちは、もろ手を挙げて喜んでいるわけではない。

 むしろ、こうしたコンペティションでは、「イングランド勢が1チームも残っていない」方が喜ぶ。つまりそれはプレミアの限られたクラブが他を抜きんでて成功していないことを意味するからだ。

 だが“幸運”なことに、今年はCL決勝でリバプールとトッテナムが対戦することとなった。サポーターは自クラブへと思いを馳せながら(私はウエストハム!)複雑な気持ちを抱えて観戦することだろう。

取材・文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

スティーブ・マッケンジー (STEVE MACKENZIE)
profile/1968年6月7日にロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでのプレー経験があり、とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からサポーターになった。また、スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国の大学で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝に輝く。
 
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