「多くのものを手にできるはず」(ハベルツ)
選手は、「頑張れ! もっと走れ!」と言われたからといって、走れるようになるわけではない。それに、ただやみくもに走っているだけでは、プレーパフォーマンスの向上には結びつかない。目的を持ち、手段を持った走りができるかどうかが重要になる。チーム内でそのあたりの整理がされていることが、好調の大きな要因だろう。
ボシュ監督はかつて、自身のサッカー哲学についてこう語っていたことがある。
「チェスに似ているかもしれない。相手はうちのやり方を見て、どう攻略するかを試してくる。その対策が、自分たちにも必要になるということだ」
ボシュ監督はかつて、自身のサッカー哲学についてこう語っていたことがある。
「チェスに似ているかもしれない。相手はうちのやり方を見て、どう攻略するかを試してくる。その対策が、自分たちにも必要になるということだ」
確かに、プランBやCは求められる。でも、だからと言ってスタンダートとなるプランAの完成度が低ければ、結局、BやCも有用にはならない。現在のレバークーゼンには、相手が脅威に感じているプランAがしっかりと存在しているのが、何よりの強みだ。
今シーズンの目標は、チャンピオンズ・リーグ(CL)出場権獲得だ。現在のレバークーゼンは6位だが、CL圏内の4位(ボルシアMG)との勝点差は5(3月16日現在)。可能性は十分にある。
「頭のなかには、そこへの想いはあるよ。4週間後には、その順位に近づけているかもしれない」とブラントは語り、ハベルツは「自分たちのサッカーで、間違いなく多くのものを手にすることができるはずだ」と、手応えを感じている。
そして、このまま調子を維持し続けてCL出場を果たすことができれば、移籍の噂もあるブラントやハベルツが残留する可能性も高くなるはずだ。来シーズン、また欧州最高峰の舞台で躍動するレバークーゼンが見られるか。ラストスパートの戦いぶりに要注目だ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。