チームは緩やかなスピードで成長を見せる
優れた指導者は、ひとつのビジョンを持ち、全てを同時に推し進めるものだ。
例えば、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は、ボールゲームに全てを託している。
ボールありき、という理念。自分たちがボールを持ち、それに応じて選手が正しい立ち位置をとって、走り出すタイミングやコースある。一方でボールを持つために、失ったら即座に取り戻すポジショニングも鍛えられている。臨機応変に動けるようなトレーニングが行なわれているのだ。
例えば、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督は、ボールゲームに全てを託している。
ボールありき、という理念。自分たちがボールを持ち、それに応じて選手が正しい立ち位置をとって、走り出すタイミングやコースある。一方でボールを持つために、失ったら即座に取り戻すポジショニングも鍛えられている。臨機応変に動けるようなトレーニングが行なわれているのだ。
一方、アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督は、ポゼッションを完全に否定。効率性を旗頭に、分厚く守り、鋭く攻撃できる人を選び、それに即した人材をフィジカル的に、メンタル的に鍛えている。
シメオネは、必要な強度でプレーできない選手を求めない。たとえ、アントワーヌ・グリエーズマンのような傑出したスキルの持ち主でも、この指揮官の下では、まず“戦う”ことが求められる。
サッカーチームというのは、段階的に強くなるのではない。日々、目に見えない緩やかなスピードで成長を見せる。
戦い方が浸透することで強くなるが、ボタンの掛け違えで、停滞も、衰退も起こりえる。主力選手の怪我や不調により、波が出ることもあるだろう。その一方、より高い能力を持った選手によって、プレーモデルが完成に近づくこともある。
全ては、日々の蓄積なのだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。