フランクフルトの命運を握るキーマンに!?

2010年から14年までフランクフルトに在籍したロデ。14年加入の長谷部とはちょうど入れ替わりでバイエルンに移籍した。ここから、良き関係を築けるか!? 写真はバイエルン時代の14年11月。 (C) Getty Images
試合後、彼はミックスゾーンに笑顔で現われ、地元記者の質問に応えた。前所属チームとの対決だ。期するものは間違いなくあっただろう。どれだけ練習で頑張っても、メンバー入りもできない……。悔しくなかったはずがない。そして今冬に古巣フランクフルトに復帰後、すぐにこの試合が訪れた。
ロデは誠実な人柄そのままに、「とても楽しみにしていたよ。僕にとって、今週は特別なものだった。僕が良いサッカー選手だってことを、みんなに示したかったからね。だから、今日の試合には満足しているよ」とにこやかに語った。
ロデは誠実な人柄そのままに、「とても楽しみにしていたよ。僕にとって、今週は特別なものだった。僕が良いサッカー選手だってことを、みんなに示したかったからね。だから、今日の試合には満足しているよ」とにこやかに語った。
続けて、充実感を溢れる表情を浮かべながら、試合を振り返った。
「立ち上がりは向こうに押し込まれたけど、そこから僕らは粘って戦い、良い結果に持ち込むことができた。(立ち上がり押し込まれてしまったのは)相手の攻撃がすごく速く、僕らの出足が遅れて、どんどん後手になってしまい、そこで振り回されてしまった。
それでも、1-1となってからは守備のバランスが取れて、競り合いにもタイミング良くいけるようになったと思う」
質問に答え終わると、ロデはすぐ近くで取材を受けていたドルトムント監督リュシアン・ファーブルの元に足を運び、笑顔で握手を交わした。
監督会見でロデのプレーについて訊かれたファーブルは、「フランクフルトに移ってからの2試合を見た。良いプレーをしていたよ。ドルトムントでは、怪我に苦しんでいた。ほぼ毎週、怪我をしていたような感じだ。試合後、『もう怪我をするなよ』と伝えた。それが一番大切だからだ」と、優しい眼差しで語った
フランクフルトがここからさらに上位を目指していくためには、中盤がどれだけ機能するかが重要になる。
ドルトムント戦後に長谷部が「自分たちの方が、前の選手に一発がある、という気持ちがある。このままやっていれば勝ち越せるんじゃないか、というのは正直あった」と語ったように、前線には破壊力を誇るヨビッチ、レビッチ、そしてセバスティアン・アレの3人がいる。
では、そこへどのようにボールを運ぶのか。それがポイントになる。ここ最近は、ビルドアップの担い手である長谷部を狙って、相手チームが激しくプレスをかけてきている。
そこをいなすためには、ロデのサポートが必要だ。ボールを引き出し、プレスを回避して、前線にボールを届ける。それがうまくいけば、昨シーズン(8位)を上回る順位でのフィニッシュが望めるはずだ。
文:中野 吉之伴
【著者プロフィール】
なかの・きちのすけ/1977年7月27日生まれ。秋田県出身。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業後、育成層指導のエキスパートになるためにドイツへ。2009年7月にドイツ・サッカー協会公認A級ライセンス獲得(UEFA−Aレベル)。SCフライブルクU-15チームで研修を積み、2018-19シーズンからは元ブンデスリーガクラブのフライブルガーFCでU16監督を務める。「世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書」(カンゼン)、「ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする」(ナツメ社)執筆。オフシーズンには一時帰国して「グラスルーツ指導者育成」「保護者や子供のサッカーとの向き合い方」「地域での相互ネットワーク構築」をテーマに、実際に現地に足を運んで様々な活動をしている。