なぜ後手に回っても動かなかったのか? アジア杯で見えた監督・森保一の本質

カテゴリ:日本代表

飯尾篤史

2019年02月05日

広島時代とは異なるチーム作りを進めているのは確かだ

 しかし、スタイルに固執するつもりはない。求めているのは、選手たちがピッチ内で臨機応変に戦うことであり、サウジアラビア戦のように相手にボールを持たせ、引いて守ることも厭わない。
 
 その一方で、どんな相手でも、どんな状況でも、必ず求めるものもある。タフに、粘り強く、戦い抜くこと――。つまり、サッカーの本質である。それが表れた好例がイラン戦の先制点のシーン。ペナルティエリア付近で南野拓実が倒れた瞬間、イランの選手たちはプレーを止めてレフェリーに詰め寄った。だが、南野はすぐに起き上がり、プレーを続けた。原口元気は「森保さんは練習中から、プレーをやめるな、続けろ、とすごく言っている。それを拓実が実戦してくれた」と日頃の成果ということを強調した。
 
 対戦相手の分析に関しても、「緻密だと思う。分析のフォーマットもイングランドと同じものを使っている」と吉田麻也は証言する。
 

 だから、カタールとの決勝で戦術的に後手に回ったことも、その際、2点を取られるまでベンチから指示が出なかったことも、意図があると思えてならないのだ。選手たちの柔軟性を磨くために、どの試合もハーフタイムまでは、あえて任せていたというような意図が――。
 
 そもそも森保監督の率いた広島は、Jリーグで最も戦術が整備され、 論理的にゲームを進められるチームだった。その時愛用していた3−4−2−1を現在採用していないことからも、広島時代とは異なるチーム作りを進めているのは確かだろう。
 
 2020年の東京五輪、2022年のカタール・ワールドカップに向けて、今は選手に経験を積ませ、成長させる。戦術的にアプローチするのはこれから――。そう考えているのではないか。U−22日本代表も含め、代表チームにおける指揮官のアプローチとマネジメントを1年半見てきて、そんなふうに感じられるのだ。
 
 おそらくU−22日本代表との融合が図られる6月のコパ・アメリカから、戦術の落とし込みを含め、チーム作りが本格化するのではないだろうか。
 
取材・文●飯尾篤史(スポーツライター)
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