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【小宮良之の日本サッカー兵法書】 アジアカップでの日本に対する「手のひら返しの論調」を批評する

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2019年02月05日

各試合の評価には相手に応じた検証が必要

カタールの先制パンチに揺らぎ、修正が遅れた日本。優勢な時間帯に2点目が奪えなかったことなど、問題点はあったが、森保ジャパンのここまでの歩みが全否定されるべきほどのものではなかった。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 アジアカップで日本は、グループリーグから決勝トーナメントのサウジアラビア戦、ベトナム戦まで、「守備的」「すっきりしない」と批判を浴びた。
 
 それが、準決勝ではイランを相手に3-0で快勝したことにより、一気に称賛ムードが広がった。
 
 しかし、カタールとの決勝戦では出足の拙さを修正できず、27分間で2点のリードを広げられた。後半で持ち直して1点差に迫ったものの、再びカウンターを浴び、CKから吉田麻也がハンドを取られてPKを献上し、追加点を献上……1-3と一敗地に塗れた。
 
 日本は今大会、準優勝に終わった。すると再び、手のひらを返したように、代表チームに対して辛辣な意見が紙面に躍った……。
 
 果たしてこれらに、プレー内容は吟味されているのだろうか?
 
 率直に言って、日本はグループリーグから批判を受けるような戦いをしていたわけではない。FIFAランキングの低い格下相手といっても、11人で守りを固められた場合、その試合は簡単なものではなくなる。それは、ブラジルやスペインなど、世界中のどの強豪でも同じことだろう。
 
「格下に大差で勝てなければ、強豪に勝てるはずはない」
 
 その論法が、サッカーという競技を無視していることに、そろそろ気付くべきだ。
 
 例えば、トルクメニスタン戦ではバランスの悪さが出た。相手が弱いことを前提に、無理矢理攻め込み、安易なカウンターを喰らっていた。守備での寄せも甘く、準備も十分ではなかった。相手を軽んじたという点で、猛省を促すべき試合だった。
 
 しかし、大会の初戦は簡単ではない。日本はMF遠藤航が不在で、攻守のバランサーも欠いていた。情状酌量の余地はある試合だった。
 
 それぞれの試合の評価には、相手に応じた検証が必要になる。
 
 サウジアラビア戦も専守防衛に徹したことで、「不甲斐ない」と糾弾されたが、堅い守備を用いて、相手の攻撃の持ち味を消していた。
 
 集中的リトリートという戦術のひとつで、ブロックを作って守りながら、相手の動きを分断。攻められはしたが、決定機は与えていない。そして、ボールを奪い返した時には、カウンターを発動。それがCKからの決勝点に繋がった。
 
 言い換えれば、森保ジャパンは「試合に応じて戦いを変える」という老練さを見せていたのだ。
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