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【小宮良之の日本サッカー兵法書】 アジアカップでの日本に対する「手のひら返しの論調」を批評する

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2019年02月05日

決勝戦では危惧されていたマイナス面が出たが…

ベストパフォーマンスを見せたイラン戦。日本を称賛するのは当然だが、同時に相手がどのような取り組みをしていたかをしっかり分析する必要がある。 写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 イラン戦は確かに、大会最高の出来だったと言える。しかしそれは、そう映る条件が整っていたからだ。
 
 イランは堅い守備を作ってのカウンターに持ち味があったが、トルクメニスタンやベトナムのような極端な守備陣形は敷いていない。自らの力を頼みに、ほとんど四つに組んできた。そのおかげで、日本の良さが攻守に出たのだ。
 
 皮肉にも、イラン戦で称賛を浴びた後の日本は、決勝戦で“対応力”を見せられなかった。
 
 浮かれてしまったわけではないだろうが、序盤から後手に回っている。中盤で攻守の補完作用を与えていた遠藤が、怪我により欠場したのも大きかった。うまくいかないことで焦りが先立ち、相手が分厚く固めた中央へのパスを出すばかり。トルクメニスタン戦と同じような空回りだった。
 
 サイドをじっくり崩し切って、中央での守備の強度をもっと上げるべきだったが、後半になるまで修正できなかったのが敗因だろう。
 
 つまり、危惧されていたマイナス面が決勝戦で出たとも言える。
 
 しかし、チームは一朝一夕で強くなったり、弱くなったりするものではない。スコアだけを見て、手のひらを返すような論調に終始するのは慎むべきだ。
 
 上積みを感じさせる戦いだったが、課題も残した。その点では、「可能性を示した準優勝だった」と言えるだろう。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
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