競争力を高めていかなければ停滞へ…
とりわけ、中島はボールを持った瞬間、相手よりも心理的に優位に立ち、存分にその技を見せている。Jリーガーだった頃は、試合の流れのなかで消えることが多かったが、厳しい環境を生き抜くことで、剛直さも身につけた。
また、自ら崩すだけでなく、コンビネーションも使えるし、とにかくシュートに積極的で、キックにも自信を持っている。10番というエースナンバーに相応しいプレーを見せているのだ。
また、自ら崩すだけでなく、コンビネーションも使えるし、とにかくシュートに積極的で、キックにも自信を持っている。10番というエースナンバーに相応しいプレーを見せているのだ。
他にも、ロシアW杯メンバーだった遠藤航が成長を示すなど、戦力はかなり充実しつつある。北川航也も、大化けしそうな予感を漂わせている。いずれにせよ、日本が世界に打って出て行くには、より層を厚くする必要があるだろう。
森保監督は、積極的に選手を入れ替えながら、発奮を促している。なかでもGKは顕著で、メンバーを固定せず、毎試合のように面子を変えている。現段階では、チームを固めない。競争力を高めていかなければ停滞する。それは、過去の代表チームを見ても明らかだろう。
アジアカップに向けては、未招集組でも面白い戦力はいる。
例えば、ベルギーのシント=トロイデンで新境地を拓きつつあるFW鎌田大地。元々、ビジョンとスキルに優れ、パサーとして異彩を放っていたが、最近は10試合9得点と決定力も見せつけ、勢いに乗っている。体躯にも恵まれたアタッカーで、南野のライバルになるだろう。
果たして、新戦力の台頭はあるのか。森保ジャパンは、まだまだ変貌を遂げるはずだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。