レジェンドの軌跡 THE LEGEND STORY――第42回・テュラム(元フランス代表)

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サッカーダイジェストWeb編集部

2018年11月01日

代表キャリアで初のゴールが母国を救い、頂点へ導く

母国を救った98年W杯準決勝でのゴール。大会後にパルマに戻った時、同僚のクロアチア代表マリオ・スタニッチに「まさかお前に決められるとは思わなかった」と言われたというエピソードも残っている。写真は2点目。 (C) REUTERS/AFLO

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 テュラムの名声を高めたのは、クラブでの活躍やタイトル歴もあるが、それ以上にフランス代表での輝かしいキャリアによるところが大きいだろう。
 
「レ・ブルー」のユニホームを初めて身に纏ったのは1994年8月17日のチェコ戦。この試合では、あのジネディーヌ・ジダンも代表デビューを飾り、こちらはいきなり2ゴールを挙げて、大きな注目を集めることとなった。
 
 エメ・ジャケの下で、右SBとして早々に代表でのポジションを確立していったテュラム。身体能力に恵まれていたものの、これに頼り切るのではなく、読みの良さと判断力の高さ、インテリジェンスを活かし、相手のあらゆる攻撃に対応し、世界の攻撃の猛者どもを封じ込めていった。
 
 初めてのメジャーイベントとなったEURO1996で、フランスは準決勝進出という好結果を残すとともに、5試合で失点わずか2と堅守の印象を与え、ここでテュラムは全試合に出場した(先発出場は4試合)。
 
 2年後、迎えた自国でのワールドカップ。初の大舞台にも、テュラムは全く冷静さを失うことなく、パワーとスピード、そして的確なプレーで対戦相手を苦しめていく。フランスはこの大会でも、抜群の守備力を誇り、準々決勝(5試合)を終えた段階で1失点を喫しただけだった。
 
 そして準決勝でフランスは、初出場でここまで駒を進めてきたクロアチアと対戦したが、この一戦はテュラムにとって永遠に忘れられないものとなった。
 
 試合は46分にダボル・シュケルのゴールでクロアチアが先制。ここでテュラムがポジションを上げられなかったことで、シュケルをオフサイドにできず、フリーでのシュートを許してしまった。
 
 これはフランスにとって、痛い失点になるかと思われたが、その直後にチームを救う同点ゴールを挙げたのがテュラムだった。敵陣ペナルティーエリアの右前でボールを奪ってユーリ・ジョルカエフに預け、ゴール前に走り込んだ彼は、リターンパスを受けると体勢を崩しながら押し込んだのだ。
 
 さらに69分には、右サイドをドリブルで上がり、味方との壁パスをいったんは相手選手にカットされるも、強引に奪い取って左足を一振り。ボールはゴール左隅に突き刺さり、ホームの大観衆を狂喜乱舞させた。そしてこの逆転ゴールが決勝点となり、テュラムは一躍、フランスのヒーローとなった。
 
 フランスはブラジルとの決勝戦では危なげなく90分間を過ごし、ジダンのヘッド2発などで3-0の完勝、7番目の王者として黄金のトロフィーを掲げた。この大会6試合でプレーしたテュラムは、全てを兼ね備えた完全無欠な存在と評価され、大会ベストDFのひとりに挙げられたのである。
 
 さらにその2年後、フランスは監督をロジェ・ルメールに代えてより成熟した集団となり、オランダとベルギーで開催されたEUROでメジャーイベント2連覇を達成。テュラムは絶大な存在感を発揮し、守備では相変わらずの安定感を見せる一方で、攻撃面の進歩を見せ、選手としての価値をさらに高めた。
 
 その後、2002年日韓W杯では大会直前にジダンが怪我に倒れたこともあり、フランスは完全に歯車が狂って無得点でのグループリーグ敗退を喫し、その2年後のEURO2004では準々決勝で伏兵ギリシャ(後に優勝)の堅守を破れずに敗北。ここでテュラムは、ジダンらとともに代表引退を宣言した。
 
 しかし、これは後に撤回。34歳で迎えた06年のドイツW杯では、再び傑出したプレーを見せて母国の決勝進出に貢献する。さらに彼は、EURO2008にも出場したが、さすがに肉体的な衰えは隠せず、チームもグループリーグで敗退。大会後、今度こそレ・ブルーに永遠の別れを告げた。
 
 彼が記録した代表キャップ数142は現時点でフランス代表史上最多である。そして代表での通算得点は2。このことからも、あのクロアチア戦が、いかに彼にとって(フランスにとっても)特別なものとなったかが分かるだろう。
 
 2008年夏、テュラムはバルサからパリ・サンジェルマンへの移籍が目前に迫っていたが、メディカルチェックで心臓疾患が発覚。それは、かつて彼の兄が患い、死に至った症状と同じものだった。契約間近から一転、彼は現役引退を決意した。
 
 カリブから移住して英雄に昇り詰めたテュラムは、社会的にも大きな影響力を持ち、ニコラ・サルコジ大統領(当時)から内閣入りを懇願されたこともあるという。小さい頃はカトリックの神父になることを望んでいたという彼は今、偉大な父と同じ道を歩もうとする息子マルクス、ケフランを見守りながら、サッカー界に提言を送り続けている。

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