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【W杯 識者コラム】日本サッカーの未来を左右する代表監督には、どんな人物が適任なのか?

カテゴリ:日本代表

加部 究

2014年06月27日

育成効果を期待するならペケルマン、国内なら風間八宏氏を求む。

独自の指導理論で結果を残している風間監督も、日本サッカーにメッセージを発信しうる指導者のひとりだ。(C) SOCCER DIGEST

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 同じ理由で、ホセ・ペケルマンも適任だと思う。育成畑出身のペケルマンは、フェルヘイエンと同様に、市井の人から独特の育成理論を発信し、ここまで上り詰めて来た。おそらく代表監督に就任しても、成長過程の事情にも目を凝らすはずだ。
 
 ちなみに、コロンビアが4-1で日本を一蹴した後、記者会見はザッケローニが先だったので、大半の日本人記者はそこで引き揚げてしまったが、ペケルマンは日本の選手たちの名前を具体的に挙げて褒め称え、いかにも興味がありそうなアピールとも思えるコメントを発していた。
 
 東京五輪開催が決まり、一時的にひと握りの強化は可能なのかもしれない。だが裾野が豊かにならなければ、成功が長続きしないことは、前回1964年の東京五輪(成果が出たのは、その4年後のメキシコ五輪だった)で立証されている。もう一度、足下を見直すためにペケルマンという発想は、決して悪くない。
 
 だが、こうしてヒディンクやペケルマンのようにプラスアルファの効果を期待できる人物でないなら、必ずしも外国人に頼る必要はないのかもしれない。
 
 今回のワールドカップの日本代表を見て「気持ちが見えない」「戦っていない」「運動量が少ない」などの指摘が目についた。しかしこの舞台で戦っていない選手などいないし、まして気持ちのない選手などいるはずがない。現実にコートジボワール戦の前半を終えて、走行距離の上位はほぼ日本の選手たちが独占していた。いい加減「相手より走れば勝つ=だから他のチームより走り込みをする」という発想から日本全体が抜け出さない限り、この先へは進めない。
 
 そういうメッセージを発信できるという意味では、川崎のファンには非常に申し訳ないが、風間八宏氏に挑戦してほしい。日本はコートジボワールに主導権を握られ、走らされ疲弊して集中が途切れた。個の力に加えて、戦術で凌駕されたために、走行距離だけ比べれば日本より劣るコートジボワールの方が、活発に戦っているように見えたのだ。
 
 風間監督は、徹底して高い技術を駆使して、賢く戦うテーマに取り組んでいる。Jリーグを見ていても、巧みに賢くゲームを支配することで時間の経過とともに相手が疲弊していくのが分かる。サッカーは相対的な競技で、人間の走力、体力、集中力には限界がある。だから限界のある体力をいかに効率的に使って戦うかという理知的な本質を忘れてはいけない。そして、それがそのまま日本の進むべき道なのだと思う。
 
 現在様々なカテゴリーの日本代表の中で、最も強烈なメッセージ性のあるパフォーマンスを引き出しているのが、吉武博文監督だ。ただし吉武氏は、アンダーカテゴリーで指導をしていることに意味がある。逆に吉武イズムを染み込ませた選手たちが、そのまま同じ方向性で成熟していくシステムが確立できれば、フル代表の監督ばかりが重荷を背負う必要はなくなる。
 
 マルセロ・ビエルサ(マルセイユ監督)がチリ代表監督に就任した当時、まず長く時間を共有できるユースの選手たちに戦術を植えつけ、それをフル代表の選手たちになぞらせたという。こうした逆転の発想も一考の余地があるのではないかと思う。

文:加部 究(スポーツライター)

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