【週刊サッカーダイジェスト編集長が語る】日本代表の4年間の総括と今後の課題

カテゴリ:日本代表

週刊サッカーダイジェスト編集部

2014年06月26日

戦術的な幅を拡げられなかった、短期決戦の経験がない指揮官。

ザッケローニ監督の作り上げたものすべてが間違いだったわけではない。継続すべき点と修正すべき点を判断する作業は非常に重要だ。 (C) Getty Images

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 コロンビア戦での奇跡は起こらず、逆に厳しい現実を突きつけられて幕を閉じた日本のブラジル・ワールドカップ。まるで8年前の敗北へのストーリーを、そのままなぞっているかのようだった。
 
 ザックジャパンの4年間はなぜ、これほど無残な結末を迎えたのか。その歩みは間違っていたのか。そしてこれからの4年間、日本はどうすべきなのか――。
 
 今回も週刊サッカーダイジェストの谷沢直也編集長の視点から、コロンビア戦を振り返るとともに、代表が抱え続けた問題、そして今度の課題について考えていく。

【写真で振り返る】コロンビア戦
 
◆コロンビア戦について
 
 かすかな望みを抱いて臨んだコロンビア戦で日本は、南米開催のワールドカップで南米のシード国と戦う厳しさを、嫌というほど味わうことになった。相手がスタメンを前の試合から8人も入れ替えてきたので、付け入る隙がなかったわけではないが、現実はそれほど甘くなかった。
 
 日本は縦への意識が過去の2戦より強く、試合の入り方はこれまでで一番良かった。グループ最強の相手から勝点3を奪うために、玉砕覚悟のサッカーで挑む。選手の動きからはそんな強い決意も感じられたが、早々に先制点を奪われたことでプランは狂ってしまった。軽率なファウルを犯してPKを献上した今野泰幸の判断は拙かったが、チームとして、あの位置にまで簡単にボールを入れさせてしまったことも問題だった。
 
 そして後半立ち上がりに奪われた、試合を決定付ける2失点目。守備の枚数は揃っていたのに、侵入してくる相手をまるで止められなかった。今大会の日本は守備時の選手間の距離が遠く、組織として連動して守れていなかったので、一度ブロックの中に入られると簡単に崩されるシーンが目に付いた。4年前、アンカーに阿部勇樹を配置して、CBとボランチの4人と連動しながらバイタルエリアの守備を強化していたのとは対照的な光景である。
 
 また3失点目は、中盤で本田圭佑にボールが渡ったところを奪われ、そこからカウンターで一気に決められている。体力を消耗し完全にバテていたが、それでも本田は攻撃の全権を握る代えのきかない存在。誰もが信頼し、ボールを預けて走る。勝点3を奪うためにチーム全体が前掛かりになっていた時間帯だったとはいえ、本田のパフォーマンスの影響を大きく受けてしまうチームを、まさに象徴する失点シーンだった。
 
 ◆ザッケローニ監督について
 
 1分2敗の勝点1、2得点・6失点という結果を受けてもなお、今日のようなゲームの入り方を初戦のコートジボワール戦からできていれば――との思いは捨てきれない。アルベルト・ザッケローニ監督はコロンビア戦後の会見で、「最初の2試合のアプローチを間違えた」と語っているが、特に重要だった初戦で、チームコンセプトとは真逆の、腰の引けた戦いを誘発してしまった責任は大きい。
 
 そこから始まった迷走を食い止める策も講じられず、試合中は攻守のバランスを保つことに腐心。ギリシャ戦の後半など、勝点3が絶対に欲しい場面でも、「1点を奪いにいけ」というような明確なメッセージを3枚の交代カードを使って選手に伝えることもできなかった。勝負の懸かった場面でリスクを冒した采配を振るえなかったのは、これまでクラブレベルの指導経験しかなく、短期決戦での戦い方を心得ていなかったからだろうか。
 
 また、日本らしい戦い=自分たちがボールを保持しながら、複数人で連動して崩すスタイルを標榜したのは良いとしても、ペースが掴めない時、あるいは相手に攻め込まれた時のことを想定し、チームとして凌ぎ切る術を身につけることも必要だった。こうした戦術的な幅をチームにもたらすことができなかったのも、ザッケローニ監督の過ちのひとつだろう。
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