「スタイル」が代表を強くするのではない
「日本のサッカースタイル」
その画一化は育成年代でも見られるが、これはとんでもない過ちである。
日本といっても、例えば東北と九州では、風土も、気質も、体格も違う。それを一緒くたにするなど、アドバンテージを殺すだけだろう。高体連から人材が生まれ続けるのは、地元の少年たちのキャラクターに合った戦い方を継続しているからだ。
それぞれの地域でのベストの戦い方を確立するなか、それを代表として集約する。そのかたちがベストだろう。
その画一化は育成年代でも見られるが、これはとんでもない過ちである。
日本といっても、例えば東北と九州では、風土も、気質も、体格も違う。それを一緒くたにするなど、アドバンテージを殺すだけだろう。高体連から人材が生まれ続けるのは、地元の少年たちのキャラクターに合った戦い方を継続しているからだ。
それぞれの地域でのベストの戦い方を確立するなか、それを代表として集約する。そのかたちがベストだろう。
代表に求められるのは、ひたすら勝利することである。どんなかたちであっても、だ。なぜなら、勝つことによって、その国の子どもたち(大人も)は自然と沸き立つ。その熱気によって、サッカー界が活性化し、人材が流れてきて、競争力が高まり、その国そのものが強くなるのだ。
「スタイルがその国のサッカーを強くする」のではない。「勝つことでその国のサッカーが強くなって、スタイルが生まれる」のだ。それは今回、日本がコロンビアに勝ったインパクトを見てもわかるだろう。
代表に関しては、「勝てば官軍、負ければ賊軍」なのだ。
勝ち方そのものが、勝つ法則になるはずで、勝利のメンタリティーに繋がる。そして、そのプレーが「スタイル」として語られる。スタイルは語るよりも、語られるべきものである。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。