【現地発】メッシと熱い抱擁を交わした瞬間、だれもがイニエスタの決意の固さを悟った

カテゴリ:メガクラブ

エル・パイス紙

2018年04月27日

メッシは絶大な信頼を寄せていた。

同じカンテラーノでもあるメッシとは、強い信頼関係で結ばれている。(C)Getty Images

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 そんなイニエスタの実力をだれよりも評価しているのは、リオネル・メッシかもしれない。試合展開が厳しくなると、決まって「もっと俺の近くでプレーしてくれ!」と声をかけるほど、メッシはイニエスタに対して絶大な信頼を寄せてきた。

 コパ決勝では、逆にメッシがイニエスタをサポートすべく、近い位置でプレーすることを意識していたように見えたのは、そんなふたりの特別な関係性を示してもいた。

 イニエスタは立ち上がりからキレのあるプレーでチームを牽引。後半88分に途中交代するまで、「攻撃は最大の防御」というバルサ伝統のDNAを見事に体現しつづけた。

「ひとりはみんなのために」というスローガンを掲げてセビージャとのコパ決勝に臨んだバルサは、こうして魔法のような夜を過ごした。逆に言えば、どうしてあのような無様な形でローマに大逆転負けを喫したのか、だれもが首を傾げたくなるほどの圧倒的な内容だった。

 イニエスタが途中交代でピッチを去り、メッシにキャプテンマークを渡す際、両者は熱い抱擁を交わした。中国のクラブとはまだ契約のサインをかわしていない。しかし、この姿を見て、ファンの多くはイニエスタの決意の固さを悟ったに違いない。

 イニエスタからレギュラーの座を剥奪した監督は、誰もいない。まして現監督のエルネスト・バルベルデは、必要以上に出場機会を配慮した前任者のルイス・エンリケとは対照的に、イニエスタに不動のレギュラーの座を与え、チームを復活に導いた。
 
 しかし、イニエスタは決断した。

 そんな彼にとって、みずからにとっては集大成、そして未来を託す若手にとっては指標となるパフォーマンスを、コパの決勝という節目となる試合で披露することができたのは大きな喜びであり、また慰めであったはずだ。

 88分にピッチを後にしたイニエスタはそのままベンチに座ると、目に涙を浮かべた。サッカーを心から愛する彼が、夢のような美しく幸せな夜に見せたこの反応に、だれもが心を揺さぶられた。

 コパの決勝でイニエスタが残したパフォーマンスとゴールは、バルセロナ、中国、そして世界中の人々の間で、永遠に後世に語り継がれていくことになるだろう。

文●ラモン・ベサ(エル・パイス紙/バルセロナ番記者)
翻訳:下村正幸
※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙の記事を翻訳配信しています。
 
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