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【小宮良之の日本サッカー兵法書】一昨年には熟成していたものが…戦術的退化が顕著だったマリ戦

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2018年03月26日

PK献上はチームとしての失策

中島の投入は正解だったが……。ハリルホジッチ監督は残り少ない準備期間のあいだに、再び戦術を機能させることができるか。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

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 また、マリはセットプレーでの守備が、“素人同然”だった。人に対するマークが甘すぎて、ことごとくチャンスを与えていた。GKの身長の低さもあったが、ゴール前を火薬庫にしていたと言える。
 
 しかし、日本はこれらのチャンスを活かせなかった。ゴールできないことで、マリの選手に自信を与えてしまった。
 
 試合が進むにつれ、1対1においてフィジカルで劣勢に回り、次第にビルドアップでももたつくようになる。判断が遅れ、攻撃も守備も後手を踏む。マリがボールを繋いでゴールに近づくだけで、明らかな焦燥と混乱が見えた。
 
 そのようにして、チームとして湧き上がった不安が、この試合がデビュー戦となった宇賀神友弥に、一番強く降りかかったのだろう。前半終了間際、焦って振り上げた足が、不運にも相手の足を蹴ってしまった。
 
 このPK献上は、ひとりの選手のミスというよりも、チームとしての失策と言えるだろう。
 
「本番前は悪いぐらいの方が良い」
 
 そういう意見もあるだろうし、過去の例を見れば、慢心は最大の敵となる。しかし、悪かったから、これから良くなるはず――そう期待するだけでは、神風を祈るようなもので、あまりに無策である。
 
 強い危機感を持つべき試合だったことは間違いない。
 
 27日のウクライナ戦は、ワールドカップで対戦するポーランドとの仮想ゲームとなる。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』、『FUTBOL TEATRO ラ・リーガ劇場』(いずれも東邦出版)など多数の書籍を出版。2018年3月には『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家デビューを果たした。
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