長谷部の存在の有無で日本の出来が変わるのは?
もっとも、敵もこの点は研究している。バックラインの前に置いたMF、あくまで「線」ではなく「点」でしかない。その両脇は空白になってしまうのだ。そこで攻撃側は、この空白のスペースを狙うようになったのだ。
このように、攻撃と守備が切磋琢磨することで、その戦術は磨かれていく。そこで肝心なのは、戦術を運用する選手である。
ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦。ヴァイッド・ハリルホジッチは、長谷部誠をバックラインの前に置くことで、攻守のバランスを取った。
長谷部はCBを補強し、インサイドハーフやサイドの選手と連係して攻撃を後押しし、セットプレーは常にケアした。技術的なミスはあったが、戦術的には満点に近い出来で、勝利に貢献している。
しかし、長谷部を欠いたサウジアラビア戦、日本の戦術は全く機能しなかった。バックラインの前のスペースへ敵の侵入を許したことにより、必然的に、守備は脆くも破綻することになった。
どんなに堅牢に要塞化しても、落ちない砦はない。攻撃に結び付くような守備の動きができるか。言い換えれば、相手の砦を落とすことができなければ、勝利はおぼつかないのだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。
このように、攻撃と守備が切磋琢磨することで、その戦術は磨かれていく。そこで肝心なのは、戦術を運用する選手である。
ロシア・ワールドカップ・アジア最終予選のオーストラリア戦。ヴァイッド・ハリルホジッチは、長谷部誠をバックラインの前に置くことで、攻守のバランスを取った。
長谷部はCBを補強し、インサイドハーフやサイドの選手と連係して攻撃を後押しし、セットプレーは常にケアした。技術的なミスはあったが、戦術的には満点に近い出来で、勝利に貢献している。
しかし、長谷部を欠いたサウジアラビア戦、日本の戦術は全く機能しなかった。バックラインの前のスペースへ敵の侵入を許したことにより、必然的に、守備は脆くも破綻することになった。
どんなに堅牢に要塞化しても、落ちない砦はない。攻撃に結び付くような守備の動きができるか。言い換えれば、相手の砦を落とすことができなければ、勝利はおぼつかないのだ。
文:小宮 良之
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、今年3月にはヘスス・スアレス氏との共著『選ばれし者への挑戦状 誇り高きフットボール奇論』(東邦出版)を上梓した。