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【小宮良之の日本サッカー兵法書】 寡黙なジダンがなぜ、タレント集団を操れるのかを考えてみよう

カテゴリ:連載・コラム

小宮良之

2017年05月11日

選手が力を発揮できるプレーモデルが常に彼の頭のなかにはある

移籍関連の噂が常に付きまとっているような選手でも、試合に出れば結果を出せるのは、その選手の実力もさることながら、彼らのやる気を高めるモチベーターの存在も大きい。写真はモラタ(左)とハメス。 (C) Getty Images

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 今シーズンも、マドリーはモラタを筆頭に、イスコ、ハメス・ロドリゲス、マテオ・コバチッチ、ダニーロ、ファビオ・コエントランらが決して腐らず、プレーできる状態でベンチに控えている。試合出場が激減していたコロンビア代表のエース、ハメスは直近の4試合で5ゴールを挙げた。
 
 彼らはいずれの試合でもピッチに立つと、レギュラー組と同等のプレーを見せ、勝利に貢献している。
 
 そうして選手全員が、戦力に組み込まれているのだ。
 
「我々はひとつのやり方でスタートしても、全く違うやり方でフィニッシュを迎えられる」
 
 戦術フォーメーションについて聞かれたジダン監督はこう語っているが、その「太さ」が、選手の尊敬と信頼を集めるのかもしれない。彼は布陣をこだわりなく組み替える。戦術マニアの指導者のような強迫観念はない。
 
 第36節のグラナダ戦では、若いFWマリアーノ・ディアスを躊躇わずに抜擢した。選手たちが力を発揮できるプレーモデルを、いつも頭のなかに用意しているのだろう。
 
 柔軟な決断ができることで、ターンオーバーが可能になっている。そのおかげで、マドリーは昨年末にクラブワールドカップを手にしただけでなく、今、リーガ・エスパニョーラ、チャンピオンズ・リーグでも、あと一歩のところまで来ているのだ。
 
 ジダンは伝説的選手である。その経歴は、カリスマの一部になっているだろうが、見かけ倒しではない。厳しい勝負を生きた男の人間としての厚みが、言葉の一つひとつに深みを与える。これは監督の才能と言うしかないのだ。
 
文:小宮 良之
 
【著者プロフィール】
こみや・よしゆき/1972年、横浜市生まれ。大学在学中にスペインのサラマンカ大に留学。2001年にバルセロナへ渡りジャーナリストに。選手のみならず、サッカーに全てを注ぐ男の生き様を数多く描写する。『おれは最後に笑う』(東邦出版)など多数の書籍を出版しており、2016年2月にはヘスス・スアレス氏との共著『「戦術」への挑戦状 フットボールなで斬り論』(東邦出版)を上梓した。
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