【現地発】バルサの歴史的奇跡、その時カンプ・ノウは――

カテゴリ:メガクラブ

工藤拓

2017年03月10日

一時は「やはり不可能なミッションだったのか……」と。

62分の失点に意気消沈するバルサ・サポーター。しかし、最後の最後には歓喜に酔いしれた。(C)Getty Images

画像を見る

 17分にはネイマールのミドルシュートが僅かに枠を外れ、思わず「ウィー!」。その後もリオネル・メッシのFKはゴールの枠を捉えらず、ジェラール・ピケはヘッドを当てきれない。
 
 追加点への渇望が高まる中、21分には自陣右サイドでイバン・ラキティッチのパスがずれ、ルーカスの下へ。幸いシュートはマルク=アンドレ・テア・シュテーゲンの胸に収まるも、チャンスを逸した落胆とピンチがもたらす恐怖の連続に、観衆の心拍数は確実に高まりつつあった。
 
「これは本当にいけるんじゃないか?」
 
 期待感が高まりはじめたのは、40分に2−0としてからだ。アンドレス・イニエスタのヒールキックがレーバン・クルザワのオウンゴールを誘発した直後、カンプ・ノウは「シー、セ、プエデ!(=Yes We Can)」の大コールに包まれた。
 
「そうだ、俺たちはやれる」
 
 クレ(バルサ・ファン)が抱いた奇跡への希望は、後半開始早々の50分にメッシがPKを決めたことで、いよいよ確信に変わりはじめた。
 
 それだけに、エディンソン・カバーニのゴールがもたらしたショックも大きかった。52分の決定機はポストに阻まれたが、さすがに二度目は外してくれない。62分、クルザワがラキティッチに競り勝って落としたボールを豪快に蹴り込まれた時点で、バルサは残り30分でさらに3ゴールが必要になった。
 
 失点の2分後。無理に仕掛けたネイマールのボールロストがカウンターを招き、カバーニがテア・シュテーゲンと1対1に。その2分後にはスアレスが大袈裟なシミュレーションで警告を受ける。失点の影響か、焦りからプレーが雑になりはじめた。
 
 並行してカンプ・ノウのスタンドも失点を機に夢から覚めたかのように自軍への応援を忘れ、ボールを持ち始めたパリSGと思い通りの笛を吹かないレフェリーに、神経質な口笛を浴びせはじめた。
 
「やはり不可能なミッションだったのか……」
 
 淡い希望は時間の経過とともに薄れゆき、とうとう残り時間はわずかに。88分、ネイマールがコースもスピードも完璧な直接FKをゴール左上角に突き刺す。あと2点。まだ希望の灯し火は消えかけたままだった。
 
【関連記事】
10日で深化させたミラクル・バルサの「6点を奪うための新システム」
【ミラン番記者】本田圭佑は「忘れられている」。監督にもメディアにもファンにも…
バルサの大逆転劇当日、マドリーのペレス会長は……
セクシー女優がナポリの選手とファンに「仰天公約」
ドイツ以外での成功が難しいのはなぜか? スカウトになった94年J得点王オッツェが見た日本人選手とは

サッカーダイジェストTV

詳細を見る

 動画をもっと見る

Facebookでコメント

サッカーダイジェストの最新号

  • 週刊サッカーダイジェスト なでしこJに続け!
    4月10日発売
    U-23日本代表
    パリ五輪最終予選
    展望&ガイド
    熾烈なバトルを総力特集
    詳細はこちら

  • ワールドサッカーダイジェスト 世界各国の超逸材を紹介!
    4月18日発売
    母国をさらなる高みに導く
    「新・黄金世代」大研究
    列強国も中小国も
    世界の才能を徹底網羅!!
    詳細はこちら

  • 高校サッカーダイジェスト 高校サッカーダイジェストVo.40
    1月12日発売
    第102回全国高校選手権
    決戦速報号
    青森山田が4度目V
    全47試合を完全レポート
    詳細はこちら

>>広告掲載のお問合せ

ページトップへ