【ミラン番記者】本田圭佑は「忘れられている」。監督にもメディアにもファンにも…

カテゴリ:連載・コラム

マルコ・パソット

2017年03月10日

100試合出場の可能性は完全に消滅した。

公式戦20試合連続でベンチスタートの本田。3月10日のユベントス戦では怪我でメンバー外となった。写真:Alberto LINGRIA

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 今回も、言葉だけを聞けば感動的でさえある。
 
「我々の元に残ってくれ」
 
「彼がすぐに出ていくことなどありえない」
 
「このままミランの選手でいることは双方の願いだ」
 
 チーム編成を預かるアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は、まるで本田圭佑がミランに残ることが、チームにとっても選手にとっても最良の道であるかのような発言を続け、2月下旬に急浮上したシアトル・サウンダーズ移籍の噂を完全にかき消した。
 
 しかしこれらのコメントは、現実の状況とは著しく相反している。別な言い方をすれば、もし公の場で「この選手は移籍すべきでない」もしくは「移籍を望んではいない」と宣言するのならば、それはその選手がチームに必要であるからなはずだ。
 
 そうでなければ、なぜ留めておく必要があるだろうか? なぜテレビカメラの前で手放す気はないと断言する? しかし本田の場合はそうではない。彼の運命の放物線はより下へ下へとカーブを描いている。どんな悲観論者も思いつかないような下の下まで……。
 
 以前、私は「本田がミランで100試合出場を達成できるか」とこのコラムで書いたことがある。到達するまでにあとたったの11試合だ。開幕前には簡単にクリアできる目標だと思われていたのだが、本田が100試合出場を飾る可能性はもはや完全に消滅した。
 
 なぜならセリエA27節を終えた現時点で、シーズン終了までミランに残された試合数はちょうど11。しかし、3月10日のユベントス戦(28節)の招集メンバーから、本田は外れた。原因はトレーニング中の怪我だという。だから、彼に残された試合数はあと10しかないのだ。
 
 そもそも、これから毎試合でプレーすることなど、本田にとってはSF以上の非現実的な夢物語だ。なにしろ現時点で、公式戦20試合連続のベンチスタート中&セリエA11試合連続(公式戦では7試合連続)の出番なしという状況なのだから……。
 
 ミランでは100試合出場を達成すると、直後の練習でガッリアーニからメダルを授与されることになっている。オーナーが中国人に変われば、それが今後どうなるかは不透明だが……。
 
 ミラネッロ(ミランのトレーニングセンター)でチームメイトの拍手に囲まれて、ガッリアーニからメダルを受け取る――。名門ミランでの100試合出場は、誰もがそう易々と辿り着けるものではない。そして本田は、そこまであと一歩のところまできたが、その栄誉に浴することができなかった。
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